コンプライアンス推進委員会

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コンプライアンス推進委員会の作り方

本日の記事では「コンプライアンス推進委員会の作り方」をご紹介します。

昨年から今年にかけて、コンプライアンス問題でニュースに取り上げられる企業が増えているように感じませんか?

パナソニックホールディングス子会社のパナソニックインダストリーによる、電子部品の材料検査データの改ざん、ENEOSホールディングス代表取締役のセクハラ、医療機関の委託で医薬品や医療機器の臨床試験(治験)を行う株式会社メディファーマによるデータ改ざん。そして、1月29日には世界一の自動車会社であるトヨタ自動車が、グループの豊田自動織機が生産するディーゼルエンジンで認証取得の不正があったとして、このエンジンの供給を受ける国内向けの6車種を含む合わせて10車種の出荷を停止することを決めたと発表しました。

昨年から続くコンプライアンス問題の中で私の記憶に強く印象に残っているのが、昨年、大手自動車会社「ダイハツ工業」が起こした、新車の安全性を確認する試験などで174件もの不正を行った件です。人の命に直接かかわることなので、これはひどいと感じました。

他にも実にたくさんのコンプライアンス違反に関する報道が見受けられました。

コンプライアンス違反は企業活動の停止だけでなく、最悪の場合、廃業という選択を強いられることもあります。このようなことにならないためにも、社内にコンプライアンスの啓蒙・維持・推進を図る機関として、コンプライアンス推進委員会を設置しておく必要があると考えます。

そもそもコンプライアンスとは?

本来「コンプライアンス」とは、要求・命令などに対する応諾・追従を意味する「Compliance」という単語からきています。

コンプライアンスを狭義に捉えると「法令順守」となりますが、近年では、社会的規範、道徳、ステークホルダーの利益、要請に沿うことなども含む広い概念として社会に浸透しています。

また、現代の企業経営に関して、コンプライアンスはとても重要な位置を占めています。その背景には様々な要因がありますが、次の二つが大きな要因ではないでしょうか?

1.市場と消費者の期待の変化
消費者や投資家は、企業が社会的責任を果たし、倫理的な基準を守ることが当然であると考えています。また、企業の社会的責任(CSR)や持続可能性への関心が高まっており、これらの要素は企業の評判と直結するようになりました。

2.法的な要求の増加
近年、政府や規制機関は、不正行為や違法行為に対してより厳しい姿勢を取っており、企業に対する法的要求が増加しています。

このようなことからコンプライアンス違反は、法的罰金、評判の損失、また、前述したように、事業の中断など、企業に大きなリスクをもたらします。適切なコンプライアンス体制を整えることは、リスクを管理し、事業の持続可能性を確保する上で不可欠です。

コンプライアンス委員会の作り方

では、ここからコンプライアンス推進委員会の作り方についてご紹介していきます。

コンプライアンス推進委員会の作り方を規定する法律はないので、各社自由で良いのですが、注意すべき点があります。

それは、会社法362条第4項により会社の内部統制に関する基本方針の決定は、取締役会の専決事項とされていることから、コンプライアンスの取り組みに関する重要事項の決定は取締役会で決議することが必要となります。この点に関しては十分にご注意ください。

では、コンプライアンス推進委員会の作り方を簡単ではありますが、ステップごとにご紹介していきます。

STEP1.目的と範囲の定義

コンプライアンス推進委員会の目的を明確にし、その範囲を定めます。具体的には次のようなものがあります。
・コンプライアンス推進体制の構築
・コンプライアンス規定の作成
・コンプライアンスマニュアルの作成
・コンプライアンス目標の決定
・コンプライアンス重視の企業風土の醸成
・法的リスクの情報収集及び対策の検討
・企業倫理の確立
・不祥事等の未然防止策・再発防止策
・リスク情報の収集・伝達・交換の統制管理
・事案発生時の対応策・改善策の策定(危機管理広報を行う広報部門と連携して行う)

STEP2.構成メンバーの選定

委員会のメンバーは、組織内の異なる部門から選ばれることが望ましいです。法務、人事、財務、広報など、多様な視点を持つメンバーを選ぶことが重要です。とくに何か問題が発生した際には危機管理広報を行うことになる可能性が高いことから、広報担当者は必ずメンバーに加えるようにしてください。

STEP3.役割と責任の割り当て

各メンバーの役割と責任を明確にします。これには、定期的な会議の開催、コンプライアンスに関する報告の作成、教育プログラムの実施などが含まれます。役割はグレーゾーンを残さないよう、明確にわかるようにしておきましょう。そうしないと後でトラブルになります。特に大きなコンプライアンス違反が起きた場合には、責任の擦り付け合いに発展してしまい、社員や部門間で確執が残ることにもなりかねません。

STEP4.ポリシーと手順の確立

コンプライアンスに関するポリシーと手順を確立し、これを組織全体に周知します。これには、違反を報告する方法や、違反が発見された場合の対応プロセスも含まれます。

STEP5.教育とトレーニング

組織内の全員がコンプライアンスの重要性を理解し、適切な行動をとれるように、教育とトレーニングを実施します。この教育とトレーニングは定期的に行います。数年に一度では意味がありません。

STEP6.モニタリングと評価

コンプライアンスプログラムの効果を定期的にモニタリングし、必要に応じて改善します。

STEP7.報告

コンプライアンスに関する問題や進捗について、組織の上層部や必要に応じて外部の関係者(弁護士等)に報告します。

STEP8.継続的な改善

法令や市場の変化に応じて、コンプライアンスプログラムを継続的に見直し、改善します。

また、「コンプライアンス重視の企業風土の醸成」に関しては常に意識して行うようにします。コンプライアンス推進委員会が「絵に描いた餅」にならないようにしなくてはいけません。自社の社員を含むステークホルダー全てが「この会社はコンプライアンスを大切にしている」という強い認識を持つような雰囲気を醸成していきましょう。

以上、コンプライアンス推進委員会の作り方について、簡単ではありますがご紹介しました。

コンプライアンス推進委員会の設立と運営には、法的な側面も関わってくるため、法務専門家のアドバイスを求めること、そして、問題発生後、危機管理広報を行う広報部門との強い連携が大切です。

本日の記事は以上となります。

お読みいただき、ありがとうございました。

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