先週、今週と、ChatGPTの機能を搭載・応用した各種ツール・サービスの中から、「ビジネスやプライベートを大きく激変させてしまう可能性が高い」ものをご紹介するという企画で記事を書いています。
先週は、「Microsoft 365 Copilot」をご紹介しました。「Microsoft 365 Copilot」のデモ動画をご覧になった方は、「これは、確実に仕事の仕方が変わっていくなぁ」と実感したことでしょう。
読まれていない方は、ここからお読みいただくことができます。
「Microsoft 365 Copilot」の登場によって、書類・資料の作成に割かれていた時間を確実に減らすことができるようになるでしょう。今後、デスクワーカーの人達には、書類・資料の作成能力よりも、創造性やクリエイティビティを求められるようになるのではないでしょうか?
さて、今週ご紹介する凄いツール・サービスは、Microsoftの検索エンジン「Bing」です。と言っても「Bing」は最近登場した検索エンジンではなく、以前から存在していた検索エンジンです。
「Bing?知らないなぁ~」という方も多いかもしれませんね。
検索エンジンと言えば「Google」「Yahoo」しか知らないという人も多いでしょう。しかし、Yahooの検索結果はGoogleが提供しています。他にも検索エンジンはありますが、世界的に見ても検索エンジン市場は、ほぼGoogleの独占状態と言っても過言ではない状況でした。
しかし、「Bing」が2023年2月に生まれ変わったことによって、検索エンジン市場におけるGoogleの独占状態が崩れる可能性が出てきました。
では、検索エンジンのBingがどのように生まれ変わったのか?ポイントを絞って解説していきます。
1.チャット機能が搭載された
一番の大きな変化は「チャット機能」を搭載し、Bingとチャットで会話しながら検索することができることでしょう。
従来の検索エンジンでは、何かを検索するときにはキーワードを入力していました。例えば、東京の渋谷にある、ピロシキの美味しいロシア料理専門店を探すなら「渋谷 ロシア料理専門店 ピロシキ美味しい」このような感じですね。
しかし、Bingでは普通の話し言葉で質問することができます。「渋谷でピロシキの美味しいロシア料理の専門店を教えて、あ、できればそんなに高くないお店を探してね」
こんな感じです。人間と会話するような感じで検索を進めていくことができます。ただ、このチャット機能はMicrosoft社のブラウザーである「Edge」上でしか使うことができませんのでご注意ください。
2.検索結果を文章で返してくれるようになった
質問する内容にもよりますが、検索結果を文章で返してくれるようになりました。言葉で言ってもピンと来ないと思いますので次に図を示しておきますね。
下記は「四国の阿波池田の楽しみ方を教えて」と入力し、検索した結果画面の右横に表示されたものです。
文章形式で表示されます。文章の一番最後にある「詳細情報」のところに、この文章の根拠となったウェブサイトのアドレスが表示されています。
この結果に満足しない場合には、「チャットしましょう」 をクリックすると、チャット画面に切り替わり、ChatGPTと同じようにチャットしながら知りたいことを深掘りしていくことができます。
※検索クエリーによっては文章での回答がない場合もあります。
3.回答の根拠となったWebサイトを知ることができる
BingのライバルであるChatGPTの問題点は、質問に対する回答が「本当かどうか」が分からないところです。ChatGPTは時々嘘を教えてくれます。なので、ビジネスに利用する場合はファクトチェックをしないと怖くて使えないときがあります。しかし、それが事実なのかどうかをチェックすることがちょっと面倒なんですよね。
しかし、Bingは、前述したように、回答の根拠となったサイトのURLを表示してくれますので、それを閲覧して自分で判断することができますので、ChatGPTを使うよりもファクトチェックにかかる時間を短縮することができますよ。
4.クリエイティブなアイディアを求めたり質問することができる
Bingのチャット画面では、ChatGPTのようにクリエイティブなアイディアや質問をして、回答を得ることができます。ビジネスのアイディア出しや相談なんかもできます。これに関してはChatGPTと同じですね。
5.文章の執筆・要約・表の作成をしてくれる
これに関してもChatGPTと同じですね。文章を書いたり、要約したり、また表を作成してくれたりします。表の作成に関しては、例えば「年度別のコロナの感染者の推移を表で教えてください」という問い合わせをすれば表を作成してくれます。
6.質問に対して包括的な要約の回答が返ってくる
Bingはインターネット全体から、利用者の検索や質問等の回答になるサイト等を検索し、それらを包括的にまとめ要約し提示してくれるので検索にかかる時間を短縮することができます。Googleであれば、検索クエリーを入力し検索ボタンをクリックして表示された画面に並ぶ検索結果一覧に表示されている文字(主にサイトのタイトル)を読み、その中からあたりをつけ、クリックして内容を確認。自分が求めていたものと違えば、他の検索結果をクリックして内容を確認するという作業が必要になります。よって、自分が求めているものにたどり着くのに時間がかかります。
7.データを保有していないことに関しては、検索をして回答してくれる
現在、ChatGPTが保有しているデータは、2021年9月頃のデータです。よって、それ以降の情報が必要な時は回答できなかったり、間違えた回答になってしまいます。しかし、Bingチャットは自分が保有していない場合には、Web全体から検索し、その結果を利用し、回答してくれますので、ほぼ最新の回答を得ることができます。
新Bingの特徴のご紹介は以上となります。
情報分析会社SimilarWebのデータによると、Bingに人工知能(AI)の開発を手がけるオープンAIの技術を統合したことによって、検索エンジン市場で圧倒的なシェアを持つGoogleを追い上げる動向が見て取れるとしています。
同社によれば、2月7日にMicrosoftがBingにAIを搭載すると発表して以降、Bingのサイト閲覧回数は、3月20日までに15.8%増加し、同期間中にGoogleのサイト閲覧回数は約1%減少したそうです。
私もここ最近は、Googleよりも、Bingを使う機会がかなり増えてきました。その一番の要因は、チャット形式で検索ができるということです。
検索結果に満足ができない場合には、更にチャットを重ねて深堀りをしていくことができますから、非常に楽です。また、Googleでも可能ですが、Bingでは、音声によるチャットもできますから、人と会話しているかのように検索作業ができます。
今までGoogleの独占だった検索エンジン市場が、今後どのように変わっていくのか、とても楽しみでもあります。
本日の記事は以上となります。お読みいただきありがとうございました。