最近「図解モチベーション大百科」という書籍を読みました。
巷でも話題になっているようです。
とても面白い内容の本だったので、その内容の一部を皆さんにもご紹介しますね。
私たちは何かをするとき、意思をもって動きます。しかし、その意志の更に下にあるもの。私たちを動かしているものの源泉、それが「モチベーション」です。
わざわざ高いお金を払ってスポーツクラブに行くのは「痩せてかっこよくなりたい」「筋肉をつけて女性にもてたい」「内臓脂肪を減らして健康になりたい」などのモチベーションがあるわけですよね?
つまり、このモチベーションの法則を理解すれば、ずぼらな自分も、頑固な上司も、動かない部下も、気まぐれな顧客も、「なぜそうしないのか?」あるいは「なぜそうしてしまうのか?」そんな答えようのない問題も、予めそうなることがわかっていたようにスムーズに解決することができるようになるかもしれません。
「図解モチベーション大百科」は、7つの「CHAPTER」から成っていますが、今日はこの中から次の5つの各CHAPTERから一つずつケースをピックアップしてご紹介しますね。
- 動機ずけのモデルケース
- 人材育成のモデルケース
- 目標設定のモデルケース
- 意思決定のモデルケース
- 人脈作りのモデルケース
■動機づけのモデルケースから
★やりたいことは手順を減らし、やめたいことは手順を増やす
試食調査の協力者たちに24枚入りのクッキーの箱を渡します。
Aチームの協力者たちには「むき出しでクッキーが入っている箱」を渡しました。Bチームの協力者たちには「1枚、1枚クッキーが個包装されている箱」を渡しました。
その結果は
- Aチームは平均して6日でクッキーを完食。
- Bチームは24日間でクッキーを完食。
つまり、必要アクションの数が減ると行動が早まり、必要アクションの数が増えると行動がゆっくりとなるということです。
人は自分がこれからすることを無意識でイメージします。そのイメージが自分に「面倒だな」という感情を起こさせると行動が鈍ります。
「毎朝体重計に乗る」ということを習慣化しようとするとき、体重計は洗面所にある方がいいですね。これが普段の生活範囲から離れたところにあると、なかなか習慣化はしないでしょう。自分が積極的にしようとしていることは、そこまでの手順を極力減らすように工夫してみましょう。
■人材育成のモデルケースから
★褒めるときは、その人の行動よりも存在を褒める
ビー玉で遊んでいる子供たち何人かにお願いして、友達にビー玉を分けてもらいました。Aチームの子供には、「君は良いことをした。素晴らしいことだ。人の役に立つことをした」と行動を褒めます。
Bチームの子供には、「君は友達を喜ばせた。素晴らしい子だ。人の役に立てる子だ」と人柄(存在)を褒めます。
(心理学者ジョアン・グルーセックの実験)
2週間後、Aチームのうち10%が、Bチームのうち45%が入院をしている子供を元気づけるためのプレゼントをしました。つまり存在(人柄)を褒めると道徳的な行いが増えるということです。
心理学者ウィリアム・ジェームズは、「人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである」と言いました。
人を一番傷つける行為は「無視」することだと言います。
人から関心を持たれない、無視されることは誰にとっても耐え難いことなのです。
「人を褒めるときは、その人の行動よりもその存在(人柄)をほめる」心に刻みましょう!
■目標設定のモデルケースから
★目標を具体的にする
ある木材の運送業者の積荷状況を調査したところ、法律で定められた最大積載量の約60%の量しか積んでいないことがわかりました。(木材をどれぐらい積めばよいか、という明確な指示がなかった)
「積載量は上限の94%にするように」と具体的な数字を示してみた結果、9ケ月後、木材は最大積載量の90%まで積まれるようになったそうです。つまり人は求められた以上のことをしない傾向があるが、具体的で難しすぎず、受け入れられるレベルの目標を提示されるとやる気を出すということです。
著者は次のように書いています。
無気力状態を生み出すパターンには二通りあります。
一つは何も目標を立てないこと、もう一つはモチベーションをなくすような目標を立てていることです。モチベーションを上げる目標とは、「難しいけど可能なもの」であり、手順に意識を向けられるもの。またいつでも、誰でも、同じように解釈できる具体的なものです。
「訪問件数をもっと増やそう」と決めるよりも、「週に最低20件訪問しよう」と決めた方が、「できるだけ残業しないようにしよう」と決めるよりも「週3日は18時までに帰ろう」と決めた方が工夫のしがいがありモチベーションが上げやすいはずです。
「目標は、頑張れば達成可能な数値にする」仕事をするうえですごく大事なことですね。
■意思決定のモデルケースから
★自分の作業計画書を作る
スーパーに来たお客さんに無作為に声をかけ「空腹ですか?」と尋ねた上で、何を買う予定かを教えてもらいました。
- Aチーム = はいと答えた客。
- Bチーム = いいえと答えた客。
Aチームの方が、アイスやポテトチップなど予定外の商品を多く買いました。
今度は、「買い物リスト」を紙に書いてから入店してもらいました。
するとAチーム、Bチーム問わず予定外の買い物はほとんどなくなりました。
(ヴァージニア大学 ティム・ウィルソンとハーバード大学 ダン・ギルバードの調査)
つまり計画を持たず、記憶を頼りにすると誘惑に弱くなるということです。
このことは誘惑に限ったことではないですね。
日々の仕事でも、前の日の夜、次の日にすることをリスト化しておくのと、当日なんとなく仕事を始めるのでは効率の良さに雲泥の差が出ます。
仕事以外のことに関してもそうです。例えばダイエット。食べてはいけない物をリスト化しておく、日々することをリスト化しておく。このことでそのときの気分や感情に流されることがなくなり、失敗することも少なくなります。
■人脈作りのモデルケースから
★初対面に全力を注ぐ
被験者にAさん、Bさん二人の人物の性格を次の順番で説明します。そしてどちらの人物がより好ましく感じるかを答えてもらいます。
Aさん
頭がいい、勤勉、直情的、批判的、頑固、嫉妬深い
Bさん
嫉妬深い、頑固、批判的、直情的、勤勉、頭がいい
この結果、被験者のほぼ全員がAさんに好感を持ちました。
(心理学者ソロモン・アッシュの実験)
つまり、先に提示された性質は、後で提示された性質を包括するほど強い意味を持つということです。
非常に面白い実験結果ですよね。
順番が違うだけで、同じことを言っているのに。
また、東京ガス都市生活研究所の調査によると、企業の採用面接では、最初の3分間で人物面、意欲などが判断されるという結果がでているそうです。
そして、「入室時から第一声までに第一印象が決まる→47.7%」「自己紹介からはじめの質問への応対までに第一印象が決まる→28.1%」「数回のやりとり以降で第一印象が決まる→24.2%」このように、入室時から最初の質問までの数分間で、第一印象が決まると回答した人材紹介会社が80%もあったそうです。
初対面の人に会う時、なにかを提示する際には、十分な気配りと注意が必要ということですね。
いかがだったでしょうか?
こういった事例を数多く知っておくと仕事上でもプライベート上でもいろいろと得できそうですよね(笑)
この本、お時間があれば是非お読みください。とても役に立ちますよ!
参考書籍:図解モチベーション大百科
池田貴将編著 サンクチュアリ出版刊