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枕投げでPR

「まくら投げ」って知ってますか?

今の若い世代の人もまくら投げってしたことあるんでしょうか?

自分が中学生、高校生の時の修学旅行の楽しみと言えば「まくら投げ」でした。

夕食が終わった後、お風呂に入ってから寝る前の時間というか消灯後というか、そんな時間帯にやっていたのを思い出します。

まくら投げに夢中になっているあまり、騒ぎすぎて先生に怒られたのもいい思い出です。

そのまくら投げがなんと競技化されました。

そう、れっきとした競技になったんです。

それも、ただの競技ではなく、静岡県伊東市を盛り上げPRする役目も負うようになったというからビックリです。

まくら投げが伊東市のPRに繋がった経緯をお話ししましょう。

ことの発端となったのは、静岡県立伊東高校城ヶ崎分校の生徒が「まくら投げ」の競技化を発案し、「デザセン2010」(全国高等学校デザイン選手権大会/東北芸術工科大学)で準優勝・市民賞、高校生賞を受賞したことに始まります。

デザセンって知ってますか?

【画像は、デザセン公式サイトより http://www.tuad.ac.jp/dezasen/index.html 】

自分も知らなかったのですが、デザセンとは次のようなものです。

*****デザセン公式サイトより引用****

全国高等学校デザイン選手権大会(通称:デザセン)は、1990年代にバブル経済が破綻し、様々な分野で根幹的な見直しが始まった時期に、知識集積型の勉強だけではなく、ことの本質に目をむけて自らが解決方法を提案できる教育的実験の場として、1994年に東北芸術工科大学の教員たちがグランドデザインしました。

*****ここまで引用*****

いかがでしょうか?

高校生が競い合うものなんですね。

しかし、文章を読んでも少し分かりにくいというか、ピンとこないですよね。

もう少しかみ砕いて説明すると、まず日常のなかの不便や、周りの人が抱えている問題など、人や社会が幸せになるために、解決すべき問題を見つけます。

問題点を見つけたら次のような流れで進んで行きます。

  1. 実態を調査する
  2. 解決方法を考える
  3. 人と話し合う
  4. 考えをまとめる
  5. 考えを表現する
  6. 人に提案する
  7. 解決案を実施する

うーん、デザセンを経験した高校生は何か大きく成長できそうな感じがしますね。

社会人になったときにこの経験が大きく活かされそうです。

静岡県立伊東高校城ヶ崎分校の生徒さんが提案したまくら投げの競技化案は次のようなものです。

【 画像は http://www.tuad.ac.jp/dezasen/works/2010/images/02/2010-02.pdf  より引用】

かねてから伊東温泉を盛り上げるためにユニークなオリジナルイベントを模索していた「伊東市」と「伊東観光協会」がこのまくら投げの競技化に着目しました。

そして、まくら投げのルールを細かく設定し競技として成立させ、子供から大人までが参加できる全日本大会を開催させました。

「まくら投げってどうやったら競技になるの?」という疑問が湧いてくるでしょう?

ルールを簡単に説明すると次のようなもの。

8人で編成された2チームが左右に分かれてまくらを投げ合って相手にぶつけるというもの。

まぁドッチボールのような感じですね。

【伊東市のまくら投げ大会の模様】

【写真は伊東市のホームページから引用  http://www.city.ito.shizuoka.jp/kankou/html/event/20130225174159.html  】

敵の「大将」(各チームで1人設定)に枕をノーバウンドで当てれば勝ちとなります。各チームの陣地には畳が敷かれ、競技者は浴衣を着用し、防御には掛け布団を使う。

このあたりのルールがなんともノスタルジックでいいですね。

競技中、『先生がきたぞォ~』とコールすることで、敵陣にあるまくらを回収することが出来るというルールもあります。このルールを作ったのは明らかにまくら投げ経験者ですね(笑)

しかし、「まくら投げ」と侮るなかれ、ルールは、Wordで6ページに渡り本当に細かく決められていて本格的なスポーツのようです。

さて、このまくら投げ競技は2013年に初めて開催されました。

当初は小さな規模の大会でしたが、開催を重ねるごとにそのユニークさから口コミが発生し、更にマスコミにも取り上げられるようになりました。

その結果、競技参加者が増加し第4回大会からは大会期間を2日間に増やし開催しています。

最近では全国から、町おこしのために「まくら投げ大会」をやってみたい、という問い合わせが入るようになったそうです。

町おこしや観光PRのアイディアを探している地域や自治体は全国に数多くあります。しかし、予算や人的資源の関係で挫折するケースも多い中、この「まくら投げの競技化」は良い教科書になるでしょう。

このケースを鑑みた時、「PRしたくても予算がないからできない」というのは通用しませんね。

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