今年中に、5Gと呼ばれる次世代移動通信サービスが始まる予定になっています。
5Gサービスを活用した各種サービスを大手企業は競うように開発していますが、5Gの導入によって一番恩恵を受けるサービスドメインは、やはり動画に関連したサービスでしょう。
5Gの通信速度は4Gのおよそ100倍にあたる、約20Gbps(20,000Mbps)。
4Kに必要な通信速度が約25Mbps、8Kが約80Mbpsなので、高精細映像を送るために必要な性能は十分に備えているからです。
このことにより、動画を使った広報・ PR に関するサービスに関しても、今までになかったようなユニークで画期的なサービスが続々と登場すると思います。
さて、そんな状況の中、株式会社ビデオマッチングという企業が、2019年6月26日、就活生と企業が動画を介して出会うサービスを開始したそうです。
就活生と企業が互いに自己PR動画をアップし、気になった企業に応募したり企業が選考オファーを送ったりでき、これにより、地方に住んでいることで出会いにくい就活生を見つけたり、面接することが可能となるそうです。
地方に住んでいる就活生が、首都圏にある企業の採用担当者と面談を行う場合、就活生には移動時間とお金の負担が生じますから、このサービスは就活生には大きなメリットでしょう。
また、本番の面談を行う前の書類審査の段階で動画を使えば、企業は、書類や写真よりも就活生の印象や雰囲気ををつかみやすいはずです。
一般向けのSNS(交流サイト)と同様、片方が認証すれば、就活生側からでも企業側からでも直接メッセージが送れます。
日経 xTECH の記事によれば「就活生は企業の人事担当者に直接質問したり、場合によっては選考で優遇されたりする」(ビデオマッチングの満居優社長)とのこと。
このサービスが開始された背景には、経団連が採用形態を通年採用に変える方針を示したことがあるそうです。
このことにより、対象となる学年や時期に関しての制約がなくなったことで、企業側が例年通りの採用数を確保できるかどうかが不透明になってしまいました。
優秀な人材の安定的な確保は、企業が成長していくためには欠かせない事案です。
ビデオマッチングの満居優社長は、同じ記事の中で「企業は従来のナビサイト経由だけではない、就活生との接点を持つ必要が出てきている。その手段として注目を集めているのが動画だ」と説明しています。
就活の方法も変わってきましたね。
オンライン動画を活用することで、就活以外にも大きく変わりつつあるのが「営業」そして「セミナー講師・コンサルティング・コーチ」の業界です。
この二つに関しても、オンライン動画を活用できる、使いやすいソフトウェアの登場により、その在り方が変わりつつあります
まずは営業から。
新規顧客を開拓するための営業といえば、見込み客のところに訪問し、そしてプレゼンをするというのが一般的な形でした。
しかし、営業に特化したWeb会議システムを開発したbellFace(ベルフェイス)という会社のサービスはすでに1000社が導入しています。
私もbellFaceを使った営業を受けた経験がありますが、画面も非常に鮮明でスムーズ、音声もクリアで、全くストレスなく商談をすることができました。
従来の営業は、どうしても移動に時間を取られるので1日に2件、多くても3件くらいしか数をこなすことができませんでした。しかし、Web会議システムを使った営業であれば、一歩も外に出る必要がないので6件位はこなすことができるでしょう。また、見込み客の希望する時間に柔軟に対応することができるでしょう。
そして次に「セミナー講師・コンサルティング・コーチング」の業界。
この業界では、会場を借りて講演会やセミナーを開き、そこに集客したお客さんにバックエンドとして、個別のコンサルティング、コーチングを販売していくという手法が一般的でした。
しかし、この方法のネックとなるのが集客できる数が見えないうちから会場を確保しなくてはいけないということ。
そして、ある一定数以上の参加者を集められない場合には、その開催自体を中止することもありました。
しかしZoom(ズーム)というWeb会議システムの登場により、低価格帯の商品をZoomで行うセミナーや講演会に設定し、その Zoom セミナーに参加してくれた人に、バックエンドの高額コンサルティングを販売するということもが可能になってきました。
これにより、フロント商品となるセミナーを行うための会場を確保する必要がなくなりました。
【画像はzoomのWebサイトより】
こういったメリットもあり、今、セミナー講師・コンサルタント・コーチング業界には急速にZoomが普及しています。
今から2、3年後には、講演会、セミナーなどはZoomを使ったものが主流になってしまうかもしれません。
このような状況を見ていると、今から6年ほど前、当時 Google の副社長兼 YouTubeグローバルヘッドだったロバートキンコー(Robert Kyncl)氏が言った言葉を思い出します。
それは次のような言葉です。
「もうすぐネット上のトラフィックの90%がオンラインビデオになるだろう。」
当時、この言葉を聞いた私は、「それは少しオーバーかもしれない」と思いました。
しかし今は、彼が言った言葉は「本当にそうなるのではないか」と考えています。
5Gサービスインを期に、インターネット上のコンテンツに占めるオンライン動画の比率は急速に増えていくのは確実です。
今後はオンライン動画を活用したマーケティング、そして広報・PR の研究が今まで以上に必要となってくるでしょう。