今日は、新潟県警と YouTuber のタイアップによる「特殊詐欺被害防止の為の取り組み」をご紹介します。
特殊詐欺とは、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金詐欺などのことを言います。
その被害額は平成30年の統計ですが、363億円にものぼるそうです。
1年は365日なので、1日約1億円の詐欺被害が出ていると言えます。
詐欺被害を少なくするため、警察は、あの手この手と色々な方策を駆使していますが、その被害は一向に少なくなりません。
その大きな原因としては次の3つが考えられます。
1.詐欺を働く側が手を変え品を変え、新たな詐欺の手法を編み出す
2.詐欺のターゲットとなるのが主に高齢者である
3.詐欺被害を食い止めるための人員を十分に確保することができず、高齢者の自覚に委ねられるところが大きい
そこで新潟県警は、防犯機能付き電話を高齢者のいる家庭に普及させようとしました。
防犯機能付き電話をご存知でしょうか?
この電話の特徴は次のようなものです。
- 登録されていない番号から電話の際、「この電話は迷惑防止のため録音されています」などと、掛けてきた相手に警告できる
- 登録した家族や親戚・知人など、普段使う電話番号は名前が表示される
- 非通知からの電話は「拒否」できるなど機能を備えている
- 最寄りの電気屋、家電量販店などで購入できる
- 特別な工事は必要ない
この機能を見るとお年寄りには良さそうな電話ですね。
しかし、どうやってその普及を促進させるかが課題でした。
高齢者の人は、機械類の取替や設置に対して苦手意識を持っているケースが多いからです。
実際はとても簡単なのですが。
よって、この電話機の設置件数を増やすためには、高齢者に直接働きかけるよりも、その家族に働きかける必要があります。
テレビ、新聞、雑誌などのメディアを利用するという手法は費用の問題もあります。また、最近では若い世代が、前述のメディアを観ない、読まないという現状があります。
そこで新潟県警が考えたのが、YouTubeチャンネルの「にいがたTV」とのタイアップによる企画です。
企画内容は、「にいがたTV」の人気YouTuberシバケンさんが防犯機能付き電話を設置してくれる人を見つけるというもの。
ただ、その見つけ方が少し変わっています。
新潟市内の繁華街である万代シティでいきなりそのへんにいる人に声をかけて、「防犯機能付き電話を設置させてくれませんか?」と頼むという方法です。
これ、テレビ東京の「家、ついて行ってイイですか?」という番組の真似をした感じになっています。
「家、ついて行ってイイですか?」はテレビ東京の人気番組です。
ご存じない方のために少し説明しておくと、深夜や明け方に街頭を歩いている人に「家、ついて行ってイイですか?」と番組ディレクターが一般人に声をかけ、同意を得られた人の帰宅路に同行し、住居を訪問してインタビューする内容です。
ちなみに家に帰るための交通費(タクシー代)はテレビ東京が出してくれます。
インタビューを受ける人にはそれぞれ、人生のドラマがあって結構楽しい番組ですよ。
さて、本題に戻りましょう。
にいがたTVさんは、防犯機能付き電話を設置させてくれる人を見つけることができたのか?
約60人に声をかけて、承諾してくれたのは「一人」でした。
結構ハードルが高いですね。
その奮闘ぶりをご覧になりたい方は動画を貼っておきますね。
にいがたTVは、新潟県内に特化した動画を放映するYouTubeチャンネルなので、防犯機能付き電話の存在を新潟県内にPRするには、十分な役割を果たしたと言えるかもしれません。
視聴回数も、3月1日時点で「59,200回」となっていますから、まずまずのPR効果があったと言ってもいいでしょう。
行政機関がYouTuberとタイアップしてPRを行う事例は珍しいことではなくなってきていますが、今回のPRがいつものパターンと違っていたのが、新潟県に特化した情報を配信するYouTuberとタイアップしたことです。
今後、このような地域に特化したYouTuberと、行政機関や企業がタイアップして行うPRが増えてくるかもしれませんね。