統一地方選挙

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地盤、看板、カバンがなくても選挙に当選できたネットを使ったPR戦略

第19回統一地方選挙が終わりました。

私の家の近くでも、連日うぐいす嬢の声が響き渡っていました。

さて、選挙と言えば「三バン」という言葉がよく言われますがご存知でしょうか?

選挙で有利に戦うためには地盤、看板、カバンこの3つの「バン」が必要であるとよく言われます。

地盤とは「組織」「団体」のことです。

自分を応援してくれる講演会組織や団体があると、そこからの組織票が見込めますから、ある程度の票数を読むことができます。

次に看板ですが、これは、その人の知名度のことを表します。まあ地元の名士とかあとタレントさんとか名前が多くの人に知れ渡っている人は当然有利になります。

そして最後に鞄です。これは資金力のことを言います。選挙には結構なお金がかかります。なので資金力がある人の方が当然有利です。

本来、政治家は優れた政策やその資質・能力で選ばれるべきです。

しかし日本で選挙で当選するには、後援会組織の充実度、知名度の有無、政治資金の多さ、に依存している場合がとても多く、これらを揶揄して三バンと言われているのです。

しかし、今回の統一地方選挙でそういった三バンがなくても議員選挙に当選したシングルマザーが話題になっています。

その人は愛媛県議会選挙で当選した「角田智恵」さんという方です。

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【写真は角田智恵氏のサイトより

角田さんは、DVの被害者でシングルマザーそしてパートで介護の仕事をしていたそうです。

立候補した理由は、子供や女性のDV被害者の負担を減らしたいと言うことでした。

しかし、角田さんの陣営には何もありませんでした。

選挙スタッフは全員ボランティア、また選挙にかかるお金も全部持ち出しとカンパで補ったそうです。

では、こういった状況の中どうやって選挙に勝利したのでしょうか?

それはインターネットを使った PR 作戦でした。

そのインターネットを使った PR 作戦を指揮したのが、彼女の陣営に付いた専業アフィリエイター永野護さんです。

今の時代インターネットを使った PR 戦略といえばすぐにFaceBook、Twitter、 Instagram などの SNS を思い浮かべます。

しかし、角田さんの場合、これらのSNSを使った拡散はそれほど期待ができないといことが永野さんの調査で判明します。

次に永野さんは、競合のWebサイトなどを分析しました。

すると、愛媛県議会議員選挙に立候補する候補者のホームページのタイトルや見出しには「愛媛県議会議員選挙」というキーワードがほとんど入っていないことがわかりました。

検索エンジンの Google はホームページの検索順位を決める際、重要視しているのがタイトルタグに入っているキーワードです。

他の候補者のホームページのタイトルタグの中に愛媛県議会選挙というキーワードが入っていないということは、有権者が「愛媛県議会選挙」と検索ボックスに入力し検索したとき、他の候補者のホームページが上位に表示されない可能性が高いということです。

このことから、検索エンジンに「愛媛県議会議員選挙」と入力する人をターゲットにしたPR作戦を考え、次の2つの属性を持つ有権者を対象とした戦略をとりました。

  • 「愛媛県議会議員選挙」などとスマホに入力し、選挙に行く意思がある人で、誰に投票するか決めていない人
  • Whyを求めて検索したネット上の有権者(Whyとは、なぜ立候補したのか?なぜ政治家を志したのか?を求めるということ。角田さんにはそのWhyに答えられる強く明確な動機があった)

しかし、実際に施策を行っていくと、ホームページよりも、角田さんの選挙運動を録画したYouTube動画が検索結果の上位に表示されるようになったそうです。

選挙期間中、選挙に関連する検索キーワードの需要は一気に大きくなります。

そこで、永野さんは次のような仮説を立てました。

「Googleはその傾向を察知し、選挙というリアルタイム性の強い需要に対して極力フレッシュな情報を検索結果で返そうとするのではないか?」

「リアルタイム性の強い需要に答えるのは、ニュースに代表される「動画」ではないか?」

そんな仮説を立てて、角田さんの情報をYouTube動画で発信するように大きく方針を変更しました。

それと並行して選挙ドットコムさんの「ボネクタ」を活用することにしました。
【Vonnecter(ボネクタ)とは、Voter(有権者)とConnet(繋がる)をコンセプトに、政治家がプロフィールや活動状況を発信する、コンテンツマネジメントツールのこと】

その際、量産していたYouTube動画をボネクタに埋め込み頻繁に更新したところ、「愛媛県議会議員選挙」等の検索結果で、トップニュース扱いで角田さんの投稿が表示されるようになったそうです。

その他、若年層にリーチするメディアとして「TikTok」を活用したそうです。

しかし、運用当初はまったく反応がなかったそうです。

ところが女性・母親・介護職が抱える問題を紙に書いて読み上げる動画を作成し、1日複数回投稿するようにしたところ、反応が激増し動画を1つ投稿するたびに5000回~8000回再生されるようになったそうです。

TikTokに選挙の投稿をすることに対する反応はとてもひどく、ほとんどがネガティブな反応だったそうです。

しかし粘り強く投稿することで、3割程度の人から好意的なコメントをいただけるようになったとのこと。

こういったプロセスを経て角田さんは選挙に当選することができました。

今回の事例は、今後の選挙の戦い方を大きく変える起点になるかもしれません。

地盤、看板、カバンを持たない人でも選挙に当選することができるようになれば、そういったものを持ってはいないけども、高い志を持った人が選挙に出てくる可能性が増えるでしょう。

インターネットを使った PR 効果の大きさを改めて実感しました。

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