5月4日、安倍首相は、首相官邸で記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を5月31日まで延長することを発表しました。
日本国民の多くが、5月6日で緊急事態宣言が解除されるとは思っていなかったようで、冷静に受け止めている人が多いと感じます。
感染する人の数が減ってきている今の状態が続けば、二度目の延長は考えにくいので、そうなると次はアフターコロナの生活が待っています。
そこで本日のPRステーションでは、いつもの広報・PRに役立つ情報からテーマを広げて、旬のトピックである「アフターコロナ」で何が変わるのかについて、取り上げたいと思います。執筆者の独断で(笑)、今回と次回の2回に渡り書いていきます。
貯蓄額の増加
今回は「預金する人が今以上に増える」という内容でお届けします。
従来から日本人は稼いだお金を貯金に回し、投資をする人は少ないと言われてきました。
日銀が2019年に発表した資金循環統計によると、個人(家計部門)が持つ金融資産の残高は、2018年度末で前年度末比0.3%増の1835兆円でした。
この内訳を見ると現金・預金は全体の53.3%を占めます。
外国と比べてみても、ドイツ、フランス、英国など欧州先進国の預貯金の率は20〜30%台であり、アメリカに至っては13%しかありません。
この数値からも、日本人が投資をしない国民、貯金に励む国民性であるということがわかります。
その背景には次の6つの理由があると考えます。
- 団塊世代以上の人たちは、老後を担保できる手厚い年金制度(厚生年金・企業年金)があった
- 終身雇用に伴う退職金があり、個人の才覚で資産形成しなくても、国と会社が老後の面倒をみてくれた
- 学校で投資について教えない
- 幼少のころから両親に「貯金をしなさい」と言われる
- 投資はギャンブル、リスキー、騙されるという先入観を持っている人が多い
- 普段、投資について話し合える人が身近にいないし、環境もない
特に、「1」と「2」の影響は大きいでしょう。
このような状況があれば、団塊世代以上の人の子どもたちが成長する過程で、家族間の話題の中に「投資」というものが登場することはほぼないのではないでしょうか?
両親が子供に対し投資の話をするなんてほぼありませんよね。
私も両親から「無駄遣いは良くない。ちゃんと貯金をしなさい」とはよく言われましたが、「将来の自分を守るためには投資をしなさい。そのためには投資を勉強しなさい」と言われた記憶は皆無です。
従来の日本人にとっての安定した生活と老後は、いかにして一流企業の社員や公務員になるかにありました。
一流企業や役所は、老後生活を豊かに過ごすための資金源となる年金と退職金の額が高いわけですから。
そのため、多くの家庭では、特に都市部では「いかに偏差値が高い学校に進学し」「いかに一流企業に就職するか、公務員になるか」に関しての話が両親の間で行われ、子供にレベルの高い教育を施そうとします。
そういった会話を漏れ聞いたり、そういう社会の風潮を感じ取り、子供もそのような価値観を自然と身に着けていきます。
またそれが、人生で確実性のある安定した生活を手にする最良の方法であるかのような社会的風潮もありました。
さて、こういった背景によってお金はどんどんと溜め込まれ、市場に出回らない状況になり、お金の流動性が失われていく現状に危機感を感じた日本政府は、国民の投資を促そうと平成26年(2014年)1月からスタートさせたのが、少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」でした。
これを受けて、民間の証券会社などでも投資に関するセミナーが多く開催されるようになり、マスコミも投資に関する情報を多く取り上げるようになりました。
ここ数年は、仮想通貨やFXのブームもあり、投資ブームとも言えるほどそれは盛り上がりを見せていました。
しかし、今回のコロナショックでは、国による支援策の発表や施策が後手後手に回ったことで「やはり現金が一番頼りになる」ということが際立つことになり、投資ブームに冷水を浴びせた形になっています。
基本、投資は「余裕資金」でやるのものです。生活を守れるだけの貯金があり、それ以外の長く使わないお金で投資をすることが大原則となります。貯金を減らし生活する人が多くなることが予想される今、投資に向かうお金は少なくなるはずです。
コロナショックによって多くの企業はダメージを受けました。特に中小・零細企業が受けたダメージは深刻です。
このことで労働者は、仕事が減った、解雇された、仕事に行けないなど様々な原因で収入が減り、貯金を取り崩して生活している人が多くいます。
また、国からの支援も10万円に留まるので、職を失った人にとっては、貯金だけが頼りになるでしょう。
これだけではなくコロナショック以前から「年金問題」「老後資金2000万円問題」なども抱えていただけに「貯金をもっとしておかなくては、老後は益々厳しい」といった心理が増長するのは明らかです。
今回の記事は以上となります。
ありがとうございました。