去年の暮れ、マーケティング関係の仕事をしている友人たちと忘年会をしたとき、ダイレクトレスポンスマーケティングのことが話題に上りました。
(以下、ダイレクトレスポンスマーケティングをDRMと表記します)
DRMとは、 広告やプロモーションに対して興味を抱き、レスポンスした見込み客に対して、サービスや商品を販売する手法のことを言います。
友人のAは
「今から25年ぐらい前、SNSが全盛期になる前、DRMって本当に流行ったよね。面白いように見込み客を集めることができたし、商品も売れた!でも、今ではWebやSNSを使って直接販売できるからオワコンだけどさぁ」
というではありませんか!
さて、DRMは本当にオワコンなのでしょうか?私は疑問を感じました。また、自分の知人以外の人もそう感じているのでしょうか?
そこで、今日のブログの記事は「DRMはオワコンなのか?」という内容でお届けします。
そもそもDRMとは
DRMとは、今から100年ほど前、アメリカで誕生したマーケティング手法で、主にB toCの業態で使用されます。
DRMをご存知ない方のためにまずは簡単に説明しておきます。
例えば、インプラントを考えている人を集客したい場合、まず、「インプラントで失敗しないための歯科クリニック選び(タイトルはこれでなくても構いません)」という小冊子を作成します。そして、それを広告または自社メディアに掲載します。そういった広告等を見て、興味を抱き、その小冊子を請求した人に対して、ダイレクトメール、電話などでセールスを行います。また、セールスを行う前にスッテップメールやLINEなどでナーチャリングを行うこともあります。
ざっと説明するとこのような感じです。
こうすることでインプラントに興味がある見込み客に対して、効率よくセールスを行うことができるようになります。
なお、具体例では、「インプラントで失敗しないための歯科クリニック選び」という小冊子を引き合いにしましたが、この小冊子のことを「オファー」と言います。
オファーは小冊子でなくても構いません。「無料体験」でもいいですし、「無料動画」でもいいです。とにかく、自社が販売したい商品・サービスに興味を抱きそうな人が欲しがるようなものを「無料」または「低価格」で提供し、見込み客を集めます。
このように見込み客にアプローチするまで、2つのステップを踏むのでDRMは、「2ステップマーケティング」とも呼ばれます。
DRMはオワコンか?
さて、DRMはオワコンなのでしょうか?
私の意見は「オワコンではない!」です。
確かに知人が言うように、商品・サービスをWebサイトやSNSで直接販売することができます。なのでわざわざ2ステップを踏むマーケティング手法を講じなくてもよいようにも思います。
しかし、次のような商品やサービスはWebサイトやSNSではなかなかダイレクトに販売することは難しいのです。
・高額な商品(3万円を超えるようなもの)
・一般的に知られていない商品(商品内容・サービス内容を詳しく説明しないと理解してもらえないようなもの)
・何度か面談しないと決めることができないようなこと(B to Bのサービスなど)
では、なぜ、DRMだと上記のような商品やサービスが販売しやすいのでしょうか?
それは次のような2つの理由があるからです。
1.見込み客としての角度が高い
前述した「インプラントで失敗しないための歯科クリニック選び」という小冊子を請求した人は、100%近くインプラントのことを考えている人です(ライバルのクリニックも請求してきますが)。これは大きなポイントです。小冊子請求以降のナーチャリングや営業の効率が上がります。
2.ナーチャリングしやすい
ナーチャリングとは、販売したい商品・サービスの購入に至っていない、見込み顧客の教育を行うことです。教育と聞くと違和感を感じる方は「購買意欲の醸成」と受け取ってください。顧客の興味の度合いに応じて段階的に商品の情報提供を行うことができます。
例えば、前述のインプラントであれば、次のようなステップを踏んで見込み客から顧客へと引き上げていきます。
1 無料小冊子等の提供
2 定期的にLINEやメールマガジンでのフォローを行い、ナーチャリング
3 無料相談会への誘致
4 クロージング
また、近年、よく耳にするようになった「ホワイトペーパー」というものがあります。ホワイトペーパーとは、主にBtoB(法人向けビジネス)で、リードを獲得するツールの1つです。ホワイトペーパーはPDFファイルであることがほとんどで、その内容は、見込み客となる企業が興味を示すようなものとなっています。
このホワイトペーパーを請求してもらうことによって、担当者のメールアドレス、電話番号等の連絡先を取得します。そして、そこへメールや電話でアプローチをします。これは、昔からあるダイレクトレスポンスマーケティングと全く同じ仕組みです。
確かにDRMは、昔ほど使われなくはなりました。しかし、現在でも、通信販売会社、コンサルティング会社、健康・美容関連産業、高額商品を扱う分野においては積極的に利用されています。そして、ホワイトペーパーが多くの企業でリード獲得目的に使われていることを鑑みても、DRMはオワコンではないと断言することができます。
インターネットの時代だからこそDRMを
今から25年近く前、DRMがとても流行したとき、インターネットは黎明期を脱しようとしているときでした。この時の企業の多くが採用していたDRMは、新聞・雑誌・メルマガなどにオファーの広告を出し、見込み客を集め、ダイレクトメールまたは電話でクロージングをかけるという流れを採用していました。しかし、今はインターネットの時代。オファーを提示する媒体はアナログからネットへと変わってきています。
そこでなんですが、DRMはインターネットととても相性がいいんです!!
ネット時代だからこそ、DRMを見直して欲しいのです。なぜなのか?その理由を書きますね。
計測が正確にリアルタイムにできる
例えば、ターゲットが「歯を白くしたい」人だとします。
次に「あなたの笑顔が魅力的に!自宅で歯を白くするための方法」というタイトルのオファーを用意し、それを広告なり自社のオウンドメディアに掲載したとします。
この場合、早ければ数時間後には、「何人が広告やメディアを見たのか」「その内の何人がオファーを請求したのか」が分かります。
そして、「オファーを請求した人の内、何人が商品を買ったのか」もすぐに分かります。
また、反応が悪ければオファーの内容を見直したり、広告やオウンドメディアのコピーを修正したりと、「 Plan Do See」 のサイクルを早く回すことができるようになり、KPIの達成を早めることができるようになります。
費用が安い
インターネットが普及する前のDRMでは、広告の出稿先は新聞や雑誌などが多かったので、広告費用の負担感がありました。しかし、現在では、費用の安価なWeb 上のネイティブ広告や、リスティング広告でリードを集めることができるようになりましたから、以前と比べ、はるかに安価な費用でリードを獲得することが可能です。
ナーチャリング(顧客教育)がシステム的にできる
獲得したリードからナーチャリングを行い、購入に導いていく際にも、ステップメールや LINE ステップなどを使えば、予め決められたシナリオに沿ってシステムが自動的にメールやメッセージを配信しますので、人間の手を煩わすことはありません。また、ナーチャリングを行う過程において、どのステップで顧客が脱落したのかも正確に把握することができます。
いかがでしたでしょうか?
DRMはオワコンではなく、現役バリバリのマーケティング手法です。
冒頭に書いたように、DRMが向いている商材を取り扱う企業の方は検討されてみてはいかがでしょう。
お読みいただきありがとうございました。