私は仕事柄、郵便局に行くことが多くあります。
郵便局は民営化されてから、窓口近くで色々なものを販売するようになりましたね。で、その中でも個人的にインパクトが大きかったのは「アパ社長カレー」です。
アパ社長カレーとは、あのホテルチェーンのアパの代表である、元谷芙美子氏の顔写真が大きく入ったパッケージのレトルトカレーで、発売以来なんと800万食を売り上げています。(2021年6月29日のニュースリリースより)
写真を次に掲載しておきますね。
【写真はアパ社長カレー公式ホームページより】
「見たことある!」と心の中で叫んだ人も多いのではないでしょうか?
カレーを見たとき、「カレーのパッケージにも元谷芙美子さんの顔を入れるんだ!」って心の中で叫んでしまいました。
多くの人は、パブロフの犬ではありませんが、元谷氏の顔を見ると「アパホテル」の名前が浮かんでくるのではないでしょうか?
以前、「働くオンナのワークライフアンドマガジン Woman Type」というWebメディアで、元谷氏の記事(誹謗中傷も「それが何か?」アパホテル社長に見る“絶対不幸にならない人”のルール)を読んで以来、その考えの柔軟性と懐の深さにすっかりファンになりました。
特に記事の中で惹かれた一節を紹介しておきますね。
元谷氏が自ら会社の広告塔になると決めて日経新聞に広告を出したときのくだりです。
ここから
日経新聞の一面に「私が社長です」ってドーンと出てね。そうしたらもう、誹謗中傷の嵐が始まりました。「公共の福祉に反する!」なんて書かれた手紙ももらいましたよ(笑)
私は手元に届いた手紙に全部目を通し、こうお返事をしました。「ご意見ありがとうございます。よろしければぜひ私に会いに来てください。そうしたら、きっと好きになっていただけると思います」って、宿泊券を添えてね。広告塔なんだから、見てもらって話題になったら大成功。クレームだって反響の一つです。むしろ何も言われないのが一番ダメでしょう? そう腹をくくっていました。だからね、私、自分が美人じゃなくて良かったって思ってるの。だって、きっと私が美人社長だったら、誰もこんなに覚えてはくれなかったでしょうから(笑)
ここまで
いかがですか?
このくだりを読んでみると、元谷氏の存在がアパホテルの成功に貢献したことが如実に読み取ることができます。また、仕事をしている全ての人が参考になるお話だと私は思います。
さて話を元に戻しましょう。
なぜ、郵便局でアパ社長カレーを販売しているのか?
これからの郵便局は物販も業務の一つとして考えているからなのか?
このあたりは不明ですが、郵便局の窓口にアパ社長カレーをおいてもらうことは、アパ社長カレーがそれほど売れなくても、アパにとってはかなりのPR効果を見込むことができるのは間違いありません。(アパカレーは全国の郵便局に置いているわけではないようです)
他のレトルトカレーを作る企業からしたら「これはずるい!」って感じでしょうね。
実は、このアパ社長カレーの生みの親は、元谷芙美子さんではなく、アパホテル株式会社代表取締役専務の元谷拓氏とのこと。
アパホテル発祥の地、石川県の金沢カレーをベースに、キャベツを添えるとさらにおいしくなるカレーに仕上げたそうです。
さて、肝心のお味の方ですが、SNS、ブログ、口コミサイト、アマゾンなどを見ても概ね好評のようで、2018年には「カレーオブザイヤー」を受賞しています。また、パッケージには「モンドセレクション受賞」(モンドセレクションには賛否両論ありますが)と「食べた人の99.3%が満足」との表記があります。
ここまで読むと「そんなに美味しいのか?」と感じるでしょう?
こういった文章を書く以上、自分自身でも食べておくべきと思い、実際に食べてみました。感想は「コクと深みがあり、レトルトカレーにしては美味しい」と感じました。
このアパ社長カレーはレトルトだけではなく。実店鋪でも食べることができます。東京の人形町と飯田橋で運営していますよ。
また、アパではこのアパ社長カレーをPRのネタとしても使っています。
PRの手法としてはSNSを利用した定番的なもので、アパ社長カレーの800万食の達成を記念したフォトコンテストの開催です。
具体的な応募方法は次の通りです
①アパ社長カレーパッケージと一緒に写っている写真・もしくはアパ社長カレーショップなど「アパ社長カレー」を提供している施設・イベントで「アパ社長カレー」が一緒に写っている写真を撮影してSNS(Twitter・Instagram・facebook)に投稿。
②WEBフォームから必要情報を入力して送信
景品も結構豪華で、最優秀賞(1名)には、東京ベイ幕張インペリアルスイート宿泊券、アパ社長カレー3箱(90個)+ゴールドスプーン3個がプレゼントされます。
日本には多くのビジネスホテルチェーンがあり、集客するためにいろいろと工夫を凝らした施策を実行しています。
しかし、実際にはそのホテルに泊まってみないと、その施策を感じ取ることができません。
(朝食を地元ならではの美味しい料理にするとか)
国内出張が頻繁にある方は、その経験から自分のお気に入りのホテルを決めてあり、出張の度にそのホテルを利用するという傾向があります。
しかし、たまにしか出張しない人や、国内旅行の宿泊先としてビジネスホテルを使う人は、自分の記憶の中にあるホテルの名前で検索したり探したりしがちになりますね。
こういった点を考えると、テレビCMの他に、このようなカレーを作って販売し、ホテルの名前を無意識に焼き付けるようなPR戦術をとっているアパは非常に有利になると感じます。
本日の記事は以上となります。
お読みいただいてありがとうございました。