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特に目立った観光資源がないと思われていた田舎町が外国人観光客を一気に増やした事例

今日の記事は、地方の山間の奥にあり、特に目立った観光資源がないと思われていた田舎町が、その田舎ならではの環境をPR活動に使い、インバウンドブームに乗った結果、外国人観光客を一気に増やした事例をご紹介します。

さて、この山奥にある田舎町というのは、実は私が育った、「徳島県三好市池田町」というところです。

高校野球のオールドファンの方は「やまびこ打線」「さわやかイレブン」で有名な「池田高校があるところだね」とすぐに思いつくでしょう。

私が高校3年生の時、夏の甲子園で優勝を成し遂げ、その翌年の春の選抜大会でも優勝を果たし、同年の夏も優勝すれば前人未到の甲子園三期連続優勝の期待がかかりましたが、惜しくも3回戦で「桑田選手」「清原選手」を擁するPL学園に敗れてしまいました。

しかし、その圧倒的な強さは池田高校という名前を全国に響かせました。

私がこの池田高校出身という話をすると、多くの人は、池田高校は都会にあって県外から野球のエリート選手を集めてくる野球学校と思っています。

しかし、違います。池田高校は田舎にあるんです。しかも半端ない田舎町。山間の過疎化が進む何にもない町にあるんです。

また、県立の進学校でもあります。

どんな町か写真を見てください。

池田町

どうですか?

私が18歳の時、東京から来た親戚の子供は「ねぇ、お父さん星があんな低い所にあるよ!凄い!」と言ってはしゃいでいました。

でもそれは星ではありません。

山の斜面に建っている民家の灯なんです。子供はそれを「星の灯」と思ってしまった訳です。

「三好市池田町」とはいっても、実際は「市」と呼ぶには少し違和感があります。どちらかと言えば「町」の方がしっくりくる感じの町です。

市町村統合によって三好市になりましたが、昔は「徳島県三好郡池田町」でした。

総人口は、毎年減少傾向にあり、直近の国勢調査速報値である2015(平成27)年の総人口は26,851人となっています。

この山間にあり過疎化が進む三好市には、これといった産業や大手企業の工場などもなく、全国から多くの人を惹きつけるような目玉となる観光資源もありませんでした。

しかし、次の3つがポイントとなり今では外国人観光客で賑わう観光スポットとなりました。

  1. 三好市東祖谷(いや)にある落合集落を天空の里としてPRしたこと
  2. 三好市東祖谷の渓谷にかかる「葛(かずら)」でできた橋を観光スポットとしてPRしたこと
  3. 三好市を流れる吉野川をラフティングスポットとしてPRしたこと

それぞれについて見ていきましょう。

1.三好市東祖谷(いや)にある落合集落を天空の里としてPRしたこと

落合集落にあった古民家を利用した宿泊施設「桃源郷祖谷の山里」がマスコミの注目を浴びることになり、この一帯を天空の里としてPRしました。

この古民家を利用した宿泊施設は、東洋文化研究家の「アレックス・カー」さんという人がプロデュースしたものです。

【写真は https://gurutabi.gnavi.co.jp/a/a_1915/ より引用】

こんなところです。

動画でもどうぞ!

このきっかけとなったのは、1971年、アレックスさんが日本全国をヒッチハイクしているときにたまたま東祖谷を訪れたのがきっかけでした。

東祖谷にほれ込んでしまったアレックスさんは、慶応大学の留学生の時、父親の友人から借金をして土地を購入、そこにあった古民家を改装し、自分の家としたのです。

現在では、9戸の古民家を再生し、宿泊施設として提供しています。

外国人観光客はこのような古来からの日本を感じさせる風景・建物を好む傾向にありますから、天空の里はヒットしました。

その現象をテレビや雑誌が特集することで、日本人の観光客も増えるという好循環が出来上がっています。

2.三好市東祖谷の渓谷にかかる「葛(かずら)」でできた橋を観光スポットとしてPRしたこと

 このかずら橋の起源はその昔、空海が祖谷に来たとき困っている村民のために架けたとか、あるいは平家の落人がこの地に潜み、追手が迫ってもすぐ切り落とせるように葛を使って架設したとの伝説もありますが定かではありません。

【写真は https://gurutabi.gnavi.co.jp/a/a_2052/ から引用】

私は何回もこの橋を渡ったことがあります。

結構怖いです。ギシギシと音がしますし、床面は「さな木」と呼ばれる丸太や割木を編んだだけなのでかなり隙間が空いています。

なので、下を流れる川の激流が凄くよく見えるんです。また、ちょっと間違えば足がすっぽり落ちてしまいます。

この橋を渡る多くの人は、「キャー」とか「うぉ~」という声をあげながら渡っていますよ。

祖谷のかずら橋の外国人観光客は増加の一途で、市観光協会によると、前年比35.88%増の5万4767人で初めて5万人を超えたそうです。集計を始めた12年以降、最多を更新し続けているそうです。

3.三好市を流れる吉野川をラフティングスポットとしてPRしたこと

ラフティングをご存知ですか?

ラフティングとは、ラフト(小型のゴムボートのようなもの)を使用し川下りをするレジャースポーツのことです。

次の動画を観ればどのようなスポーツか一目瞭然です!

吉野川の上流域はこのラフティングを行うのに適した場所でもあり、以前からラフティング愛好家の間ではそこそこ有名な場所であったようです。

しかし、2017年のラフティングの世界大会の誘致に成功してからは、その知名度は一気に世界レベルになりました。

山間の田舎町に世界大会に参加するための選手団が世界から集まったのですから、町は経験したことのないような事態になりました。

写真をご覧ください。

【写真は https://www.awanavi.jp/docs/2017100500017/ から引用】

【写真は https://www.awanavi.jp/docs/2017100500017/ から引用】

これはJR池田駅前ですが凄いです。

普段は人がほとんどいませんからね。選手たちはどこに泊まったのか?不思議です(笑)

いかがでしたか?

ご紹介したようなPR活動が功を奏し、東祖谷、吉野川上流域(大歩危・小歩危ともよばれています)の両地区は昨年12月、米国の大手旅行雑誌「トラベル+レジャー」の「2018年に訪れるべき50の旅行地」に日本で唯一選ばれました。

これは凄いことですよね。

この町出身の自分としてはとても誇らしく思います。

高校生までは「この町、なーーんにもない、早く都会に行きたい」って思っていましたから、はっきり言って嫌いでした。

だけど、今、東京に住むようになって逆に池田町を好きになりました。

「うちの町はなにも観光資源がないから」と初めから諦めるのではなく、意外なものが観光資源になることもあります。いろいろと知恵を絞りトライアンドエラーを繰り返すことが重要ですね。

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