前回と今回の記事で「人が無意識に動いてしまう6つの心理」についてご紹介します。
6つの心理を再度、次に記載しますね。
1.返報性
2.コミットメントと一貫性
3.社会的証明
4.好意
5.権威
6.希少性
前回はこの内の一つ「返報性」についてご紹介しました。今回は、残りの5つをご紹介します。
2.コミットメントと一貫性について
人間には、自分の言葉・信念・態度・行為を一貫したものにしたい、あるいは、他の人にそう見られたいという欲求があります。
本の中で紹介されている、コミットメントと一貫性の具体例を紹介します。
カリフォルニアの住宅地に住む住人を2つのAとBのグループに分けます、Aグループの住民にはとても大きく、下手な字で「安全運転をしよう」と書かれた看板を家の前に設置させてほしいと依頼したところ、住民の83%はそれを拒否しました。これに対し、Bグループの住民には、同じ依頼をする1週間前に「安全運転するドライバーになろう」と書かれた3インチ四方のシールを貼って欲しいと依頼し、OKをもらってから、看板設置の依頼をすると住民の76%が承諾しました。
このように、小さな承諾を得てから次の大きな承諾をさせることを「フットインザドアテクニック」といいます。このテクニックは人の持つ「コミットメントと一貫性」の心理を利用したものです。セールスやマーケティングの分野ではよく使われている有名なテクニックです。
3.社会的証明について
多くの人は、他人が何を正しいと考えているかに基づいて物事が正しいかどうかを判断するという心理を持っています。
この心理を示す身近な具体的な例としては次のようなものがあります。
・飲食店を選ぶときの食べログの評価点数
・Amazon等のECサイトなどで商品を購入するときのレビュー内容
これらは、商品やサービスを購入する際、自分自身の頭で判断するよりも「多くの他人がどのくらい評価しているのか」という結果で購入判断したい人が多いという事実を利用しています。
また、この心理を応用した販促のキャッチコピーでは次のようなものが考えられます。
・『トップガン マーヴェリック』の全世界興行収入が10億ドル(約1,350億円)を突破
・発売から半年間で「5秒に1個売れた」化粧水
・現在この○人がこのサイトを見ています
個人的な感覚かもしれませんが、旅行予約サイト、レストラン予約サイトでは「現在この○人がこのサイトを見ています」は特に有効であるように感じます。
4.好意について
人は自分が好意を持っている人から何か頼まれると、それを断ることがなかなかできないものです。
結婚詐欺では、相手を好きにさせておいてから「借金」「投資」を持ちかけます。「好き」という感情が理性に蓋をしているので冷静な判断ができなくなるのですね。
また、自分の好きな俳優、女優さんが出ているテレビドラマは必ず観たり、その人が出演してるCMの商品を買ったりしたことは多くの方に経験があるでしょう。
「タレント好感度調査」という言葉を聞いたことがあると思います。この調査において上位にランキングされるとテレビ番組、CMに引っ張りだこになります。
逆に不倫などの不祥事を起こしたタレントは、すぐにテレビ・CMから消えてしまいます。好感度というものをメディアが重要視していることがわかりますね。
5.権威について
人は権威性のある職業、資格、団体の言葉に弱いものです。
「医師」「弁護士」「大学教授」「大企業の経営者」「博士」「日本医師会」「日本弁護士連合会」「東京大学」「NASA」etc..
こういった職業、資格、団体などから発せられた言葉に関しては、それを頭から信じる傾向が強くあります。
私たちは、たとえ疑いの気持ちを持ったとしても「専門家が言っているのだから」「偉い人が言っているから」と考え、「自分の方が間違えているのかな?」と思ってしまうものです。
次のようなニュアンスのキャッチコピーを一度は読んだことがあると思います。
「医師が勧めるリバウンドしないダイエット方法」
「株式会社●●●●も社員教育に導入した●●」
「ハリウッド女優も実践する最新ダイエット方法」
「NASAが開発した新素材を使った、超軽くて暖かいブランケット」
このような権威性を利用した販促活動は私達の日常にすっかり溶け込んでいますね。
6.希少性について
テレビの通販番組を観ていると次のような言葉をよく聞きませんか?
「先着100名様限りのご提供とさせていただきます」
「お一人様2セットまでのお申し込みとさせていただきます」
これは希少性に人が動かされる心理を応用したセールストークの代表的なものです。
私たちは希少性にとても弱い生き物です。
街を歩いていると、行列ができているスイーツ屋さんやパン屋さんを時々見かけます。そういったお店は行列客の目当てである人気商品の販売を制限していることがよくあります。
いつ行っても購入できる商品であれば希少性はありませんから、行列はできません。また、生産台数の少なかったフェラーリなどの高級スポーツカーやビンテージジーンズなどもその希少性ゆえ高額な値段で売買されるわけですね。
以上、前回と今回の2回に渡り、人が無意識に動いてしまう6つの心理についてご紹介してきました。
人間は自分の考え(理性、理屈)で考え行動しているつもりになっています。しかし、その実は潜在下にある無意識が自分の考え行動を支配しています。
人を動かす心理テクニックは、前回、今回とご紹介したもの以外にもたくさんあります。これらを知っておくとプライベートでもビジネスの現場でも役に立つので、ご興味があればそういった方面の本を読んでみるのもいいと思います。
今回は以上となります。
ありがとうございました。