あなたは「影響力の武器」という本をご存知でしょうか?
私は人生で「この本は、本当に読んで良かった!」と強く感じる本が5冊あります。「影響力の武器」はその内の1冊となります。
私がこの本を読んだのは今から23年前、サラリーマンを辞め、独立開業した直後だったと記憶しています。それまでサラリーマンしかしたことがなかった私は、自分の商品を売る知識を全く持っていませんでした。
色々なセミナーに参加したり、本を買い漁って必死に知識を身に付けようと模索して日々もがいて苦しんでいました。そんなときに出会ったのが「影響力の武器」です。この本の副題は「なぜ、人は動かされるのか」です。
この副題に強く惹かれるものがあり、買ってむさぼり読みました。読んだ感想は「凄い!人の行動原理というか、心理はこういうものなんだ」と目からウロコ!
後で知ったのですが、「影響力の武器」は世界的な名著で、かつ、発刊以降世界中でロングセラーを続けています。「マーケティング」「営業」の仕事に携わる人には是非読んでもらいたい内容です。もちろん広報・PR部門で働く方にも役立つ内容です。
しかし、残念なことに、私の周りでは独立起業している人は高確率でこの本を読んでいますが、企業にお勤めの方は読んでいることが少ないので、この本の内容を簡単にご紹介します。
なお、ブログ記事の文章が長くなるため、今回と次回の2回に渡りご紹介していきますのでお付き合いください。
書籍の内容
この書籍の著者は、実験社会心理学者であるロバート・Bチャルディーニという方です。
チャルディーニ氏は、米国を代表する社会心理学者の一人であり、現在、アリゾナ州立大学の心理学およびマーケティングの名誉教授です。社会的影響過程、援助行動、社会的規範などに関する数多くの業績で学界をリードしている方でもあります。
さて、あなたは次のようなニュースや話を聞いたりしたことはないでしょうか?
「うまい投資話に乗せられ大金を失った」
「違法なねずみ講ビジネスに誘われ信用とお金を失った」
「床下のシロアリの調査を進める営業マンの口車に乗って必要のない数千万円ものリフォームをしてしまった」
「人気商品で品薄なので買ってみたら大したことないものだった」
こういったニュースや話を聞くと、多くの人は「なんでそんなものに騙されるんだろう?自分は騙されないけどなぁ」と思うようです。
しかし、この世の中に騙されない人はいません。どんなに高学歴で知能指数が高い人でも騙されます。人は簡単に心理誘導される生き物なんです。
この本は、チャルディーニ氏自身が味わった苦い経験から、セールスや広告の世界に入り込み、人がどのような心理的メカニズムで動かされるのか解明し「人が無意識に動いてしまう」「人の要請を受け入れてしまう」6つの心理をまとめた本となります。
それでは次から6つの心理をご紹介しましょう。
(なお、書籍の中では6つの心理を証明する様々な実験やエピソードが豊富に書かれていますが、このブログではそれらについては割愛しています)
6つの心理
まずは、6つの心理を次に記載し、その後で個々に簡単ではありますが説明をします。
1.返報性
2.コミットメントと一貫性
3.社会的証明
4.好意
5.権威
6.希少性
1.返報性について
返報性とは、「何かをしてもらったら、そのお返しをしなくてはすっきりしない」という心理です。
返報性を現した世界的に有名な言葉に「与えよ、さらば与えられん」 というものがあります。ちなみにこの言葉は、キリスト教の新約聖書「マタイ福音書七章」のイエスの言葉がもとになっていますね。また、「ギブアンドテイク(give and take)」という言葉もあります。
何かを得たければ、まず、自分が先に与えなければいけません。これは人間社会で生きていく上で常に頭に入れておく必要があることでしょう。
次にこの具体例を3つ挙げておきますね。
シチュエーション | 見込み客の情報がほしいとき |
与えるもの | 見込み客が知りたいと感じている情報をまとめたホワイトペーパー |
シチュエーション | 通販専用健康食品を販売したいとき |
与えるもの | お得なお試し価格のその商品 |
シチュエーション | 気になる女性と交際したいとき |
与えるもの | おしゃれで美味しくて人気レストランでの食事とプレゼント |
いかがでしょうか?
気をつけなくてはいけないのは、返報性は自分が相手に抱く敵意も同じように返ってくるということです。相手に対して抱く嫌な感情や態度、表情も自分に帰ってきます。
まさしく「因果応報※」といえます。
(※過去および前世の行為の善悪に応じて現在の幸・不幸の果報があり、現在の行為に応じて未来の果報が生ずること)
今の自分の状況に不満がある人は、返報性の法則を強く意識して生活を送ると数年後には状況が一変するかもしれません。
さて、続けて「2」から「6」の心理についてご紹介したいところですが、文字数も増えてきましたので、続きは次回の記事でご紹介しますね。
お読みいただきありがとうございました。