前回、前々回と「危機管理体制の構築方法」についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
企業がなんらかの不祥事や事故を起こしたとき、その深刻度によっては謝罪のための「記者会見」を開いたほうがいい場合があります。
記者会見と聞くと、大企業が行うものと考えていらっしゃる方もいるかもしれません。しかし、大企業ではなくとも次のような状況のときには記者会見を開くべきです。
- 自社が引き起こした事故・不祥事により、人体・健康に深刻な被害を受けた人がいる場合
- 自社が引き起こした事故・不祥事により、被害を受ける人が多数存在することが考えられる場合
- 食品への異物混入や製品の品質不良など、二次的被害を防ぐためその事実を広く社会に認知させる必要がある場合
上記のようなケースは、ホームページ上に謝罪文を公表したり謝罪リリースを配信したりというだけでは、被害を受けた方々を含め社会的に十分な対応をとったとは言えず、企業に対しての印象が悪くなったり、ブランドイメージに傷がつく場合があります。
また、昨今では、 SNS などを通じて批判が集中し、いわゆる「炎上」状態になり、「社名=悪者」という図式ができあがってしまい、そのことが顧客の頭に残り、取り返しのつかない事になることも考えられます。
信用を築き上げるのには時間がかかりますが、失うのは一瞬です。よって、先に挙げた3つ(または同じくらいのレベル)に該当するような時には、記者会見を開いたほうが信用回復を早める結果となりますし、企業の存続にもプラスとなることが多いでしょう。
しかし、記者会見と言われてもどうすればいいのか?皆目検討もつかないのが一般的だと思います。記者会見を開くなんてことは、普通に生活を送っていたら一生に一度もないでしょう。
そこで、今回及び次回と、「記者会見」の開き方について大枠をかいつまんでご紹介します。
普段からPR会社等とお付き合いがある会社は、いざというとき、その会社に記者会見のセッティングを依頼することもできますが、そうでない場合は、記者会見を開く際の手順や注意点をまとめたマニュアルを準備しておくといいでしょう。
ではここから具体的な記者会見の開き方をご紹介していきます。
開催日時を決める
記者会見を開くことが決まったら、開催日時を決めて報道機関、メディアに連絡をします。
開催会場を決める
自社にそれなりのスペースが有るのならそこを使ってもいいでしょう。事件・事故等が社会的に注目を浴びている場合は、会見に来る記者の数も多くなります。そういった場合は、ホテルの宴会場やレンタルスペースを借りることもあります。そういった場所を借りる場合は必ず下見をしておきましょう。ホームページに掲載されている写真だけで決めてしまうとあとで後悔することになることも多々あります。記者会見会場を決めるときのポイントは次のとおりです。
・最寄り駅からのアクセスを実際に確認する
駅から遠い、または会場までの順路が複雑で分かりにくい会場は避けます。また、駅から会場までの道程は実際に自分で歩いて確認しましょう。
・会場付近の環境を確認する
会場に下見に行くとその周りは飲み屋や風俗店が軒を連ねている場合があります。そのような周辺環境の場合はその会場は選ばないようにしましょう。
・参加予定人数を収容してもスペースにある程度の余裕があるかどうかを確認する
仮に参加予定の記者が50名だとします。このとき50名収容できる会場を借りてはいけません。
記者会見では、スピーカーと記者の距離をある程度保つ必要があります(手元の資料を記者に見られないようにするため。また、スピーカーと記者の間が近いとスピーカーが緊張する、話しにくいといったこともあります)。また、記者以外にも、報道各社のカメラマン、そういった方々を誘導するスタッフ、司会者、会見を撮影する自社のスタッフなど、多くの人数が会場に入りますから、その人数分を考えた余裕のある会場を選択する必要があります。できれば参加する記者の人数+20名くらいのキャパシティの会場を借りるようにします。
会場レイアウト・動線の決定
会場を借りたらその会場の形状に合わせて、記者、スタッフ、スピーカーの入場退場の動線を考えて、会見場のレイアウト、スタッフの配置図を作成します。記者、カメラマンは会場後部の入り口から入場してもらい、司会者、スピーカーは前の入り口(できれば会見席の後方)から入場するようにするのが望ましいでしょう。
会見全体のスケジュール・流れの決定
会見当日の全体を通したスケジュール・流れを作成します。これに不備があると会見が台無しなりますので「抜け・漏れ」がないか何度も確認しましょう。
各スタッフのタスクの作成
会見場での各スタッフのタスクを考えます。
少なくとも次のスタッフが必要です。
スピーカー以外に、統括管理者、受付、司会者、進行管理者、会場誘導係、会見記録係など
どのスタッフも重要な役割を担っていますが、特に重要なのは統括管理者です。細やかな目配り、気配りが必要です。会見がスムーズに滞りなく運ぶか否かは統括管理者次第です。
今回の記事はここまでとなります。
続きは次回の記事でご紹介します。
お読みいただきありがとうございました。