広報・PR業務に携わる人は、広報・PRの知識だけではなく、マーケティングの知識もある程度身につけておくと、会社が行なっているマーケティング戦略と相乗効果を生み出す広報・PR戦略を構築することができるようになります。よって、マーケティングを積極的に勉強することをお勧めします。
そこで、今回の記事は、マーケティングの知識の中でも重要な「マーケティングマネジメントプロセス」というものについてのお話です。
マーケティングマネジメントプロセスを詳しく解説すると、かなり長い文章になってしまいますので、本日の記事では、その要点だけをご紹介することにします。
マーケティングマネジメントプロセスとは、マーケティング活動を効果的に行うための進め方のことです。
マーケティングマネジメントプロセスは次の5つのステップから構成されます。
1.リサーチ
2.顧客の絞り込み(STP分析)
3.4P分析
4.マーケティング戦略の目標設定と実施
5.評価
では、これら5つについて簡単にご紹介します。
1.リサーチ
自社が行う事業を取り巻く環境の調査、そして分析を行います。リサーチをする項目としては次のようなものがあります。
●マクロ環境分析
自社の力だけではコントロールすることができず、それにより事業活動に影響を与える外部環境要因の分析のことです。ここ数年続くコロナ感染症の流行は、まさに自社の力だけではどうにもすることができない外部環境要因と言えます。
●ミクロ環境分析
自社が行う事業活動に対し、直接的に影響を与える外部の環境を分析することです。外部の環境の例としては、市場の大きさ、今後の成長性、競合状況、流通チャネルの構造、顧客動向などがあります。
2.顧客の絞り込み(STP分析)
顧客ターゲットを絞り込みます。この時、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング。これら3つを考えます。これら3つの頭文字を取ってSTP分析と呼ばれます。
セグメンテーション
セグメンテーション(Segmentation)とは、「区分」「区分け」を意味します。マーケティングでは、「市場に存在する不特定多数の顧客をさまざまな切り口で分類し、特定の属性ごとに細分化するプロセス」と定義されています。端的に言うと、市場や顧客を同じニーズや性質を持ったグループに分類することですね。
セグメントを行う際の代表的な四つの軸は次のとおりとなります。
●地理的変数
国や市町村、人口、気候や文化など地理的な属性でセグメント
●人口動態変数
顧客の年齢や性別、所得、学歴などの属性でセグメント
●心理的変数
顧客の価値観やライフスタイル、購買心理などの属性でセグメント
●行動変数
商品(サービス)を利用する目的や用途、利用頻度などの属性でセグメント
ターゲティング
セグメンテーションで分類した複数のセグメントのうち、どのセグメントをターゲットとしてビジネスを展開していくか決める作業のことです。例えば、ノートパソコンを製造販売している会社の場合ですと、「ビジネスマンでノートパソコンを、仕事の移動中、出張先で使うことが多い人」というのがターゲティングになります。
ポジショニング
ポジショニングは、セグメント内の競合の商品やサービスを見て、自社の立ち位置を決定する作業です。ポジショニングを行う上で大切なことは、競合と比較する軸を持つこと。値段や、品質、店舗数、販売チャネルなど、多くの指標の中から必要なものを選び、競合と比較します。ポジショニングが失敗すると、提供する商品がどんなに良くても、競合相手に埋もれてしまい、商品が売れないということになってしまうことも多々あります。
3.4P分析
4P分析とは、マーケティング施策を決定するときに使うフレームワークの1つです。1960年にマーケティング学者の、「エドモンド・ジェローム・マッカーシー」が考案し、世界に広まりました。
4PとはPを頭文字とする、以下4つの要素を指します。
●Product:どんな製品やサービスを提供するのか
●Price:製品・サービスをいくらで販売するのか
●Place(Channel):製品・サービスをどのように提供するのか
●Promotion:製品・サービスをどのように販促するのか
4.マーケティング戦略の目標設定と実施
実際に戦略・戦術を実行する際の数値目標の設定など、マーケティング戦略を構築します。
この際、次の3つの指標がよく使われます。
●KFS(Key Factor for Success)
目標を達成するために何を行うべきかという成功要因のことです。
●KGI(Key Goal Indicator)
企業の経営戦略やビジネス戦略を達成するために、「何をもって成果(ゴール)とみなすのか」とする指標のことです。
●KPI(Key Performance Indicator)
KGIを達成するために必要な数値目標のことです。
5.評価
実際に行ったマーケティングの効果を評価し、改善点を洗い出します。実際の現場では、このプロセスを1回転させただけで成果が上がることはあまりなく、プロセスを何回転もさせ、試行錯誤することで戦略の精度を向上させることができるようになります。
以上、マーケティングマネジメントプロセスを簡単ではありますがご紹介させていただきました。
普段、私たちが何気なく使っている商品やサービスも、こういったプロセスを経て私たちの手元に届いている思うと、なんだかとても感慨深いものがありますね。