こんにちは、アネティブログ編集部の加川です。
大手広告代理店「電通」の過労死事件を契機に、大手企業を中心に社員の労働環境改善の動きが活発化しています。また、安倍総理も「働き方改革」を掲げ、長時間労働の是正を目指しています。
しかし、企業や国が労働環境の改善を推し進めても、私たち労働者側の働き方、正確には思考が変わらないと、過労死、うつ病などはあまり減らないかもしれません。
過労死、うつ病になる人の多くは責任感が強く、完璧主義の人が多いようです。
そこで、今日のブログでは責任感が強く、完璧主義でなんでも抱え込んでしまいがちになる傾向のある方の心が少し楽になる方法を「2割に集中して結果を出す習慣術」という本からご紹介します。
この本の著者で、習慣化コンサルタントである「古川武士氏」は著書の中で「『完璧主義志向』から『最善主義志向』に移行しましょう」と提唱しています。
「最善主義志向」とは、「力の入れどころ抜きどころ(集中する2割)を見極めて、より無駄をなくし、限られた時間で最大の結果を出すことです。
「上手に力を抜きながらも成果を上げましょう」ということでしょう。
「2割に集中し結果を出す習慣術」では最善主義志向に移行するための33の考え方が紹介されています。
今日は、その中から私が個人的に「そうだよなー」と感じた「5つ」の思考方法をご紹介します。
〇完璧主義の人は「100点」か「0点」かで考える
〇上手に力を抜く人は「グレーゾーンで柔軟思考をする」
完璧主義の人は、仕事全体のうち、1つでもできないことがあると「ダメ」と考えてしまいがちですね。
完璧主義志向の中でも、特に、「二者択一の判断」の傾向が強い人は、100点か、0点かで考えるそうです。認知心理学の世界では、これを白黒思考というそうです。白黒思考の特徴は白でなければ黒と判断してしまう極端さです。
しかし、この世の中はそう単純なものではないですね。
白か黒よりもグレーの部分の方が多いのではないでしょうか?
「白か黒か」という思考の癖は自分で自分を苦しめてしまいます。
「何もかも100点を目指そう」という考えではなく「60点か70点でいいや」という考えを意識することが大切ですね。
〇完璧主義の人は「タイムプレッシャーを嫌う」
〇上手に力を抜く人は「ギリギリを上手に活用する」
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
この言葉をご存知でしょうか?
これは、1958年、英国の歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンの著書「パーキンソンの法則:進歩の追求」の中で提唱された法則です。
この法則を説明すると、ある仕事を行うにあたり、余分な時間が与えられると、人は与えられた全部の時間を無駄なく使うために、仕事のペースを無意識のうちに調整し、生産性の低い仕事になることが多いということです。
完璧主義の人は、仕事を完成させるうえで、丁寧にじっくりと取り組みたいという思考が強いので、重たい仕事をするとき、十分な時間を確保しようとします。しかし、この時間的余裕が逆に仕事をだらだらと進める要因となり、時間の余裕を奪っていきます。
完璧主義の人ほど、「それほど重要でない仕事」に関しては、〆切ギリギリになってから手を付けることで得られるギリギリ効果を利用したほうがいいのです。
〆切まで時間的な余裕がないと、集中力が高くなり、余計な作業を省く思考が働き、時間当たりの生産性が高まります。
結果、限られた時間内で多くの業務を最大効率で行う工夫をするようになります。
〇完璧主義の人は「すべて網羅しようとする」
〇上手に力を抜く人は「結果が出る部分を徹底する」
受験でも資格試験でも出題される可能性のある個所を絞り込み、そこに重点を置いて勉強するほうが効率的です。
大手予備校では、過去の膨大なデータの分析から、出題される可能性の高いところがわかっていますから、予備校に通う方が独学で勉強するよりも短時間で、比較的楽に自分の望む結果を出すことができます。
仕事でも同じです。
何でもかんでも100%の力で取り組んでいては疲れてしまいますし非効率です。
パレートの法則をご存知でしょうか?
「80%の結果は20%の原因からもたらされる」という法則です。
この法則の引き合いによく出されるのが「会社の80%の売り上げは20%の顧客からもたらされる」というものです。
優秀な営業マンほど上位20%の顧客へのアプローチに力をいれています。
こうすることで効率的に業績を上げることができます。
パレートの法則は仕事だけではなく、日常生活のあらゆるシーンに応用できます。この法則を意識して生活するだけでも「忙しい」「時間がない」という状況から抜け出すことができるようになるかもしれません。
〇完璧主義の人は「一発勝負で考える」
〇上手に力を抜く人は「確率論で考える」
ケンタッキーフライドチキンの創始者のカーネルサンダース氏が、自らが考案したフライドチキンの製法とフランチャイズ方式を売り込んだ際に1005回断られ、1006回目に成功した話は有名です。
またエジソンは電球を開発するのに1万回もの失敗をしています。
次の数字を見てください。
成功確率が50%のことに、5回チャレンジした場合、成功する確率は97%。
成功確率が30%のことに、5回チャレンジした場合、成功する確率は83%。
では、成功する確率が1%の場合はどうでしょうか?
この場合、450回チャレンジすれば成功する確率は、99%にもなります。
この数字を見るとなんだか勇気が湧いてきませんか?
完璧主義の人は一つの打ち手で失敗しないように頑張ります。失敗を恐れるあまり、数を試すことを忘れてしまいがちになります。
上手に力を抜く人は、一つのことに100%を求めず、失敗も受け入れながらいくつかの施策を試し、全体でうまくいけばいいと考えているのです。
〇完璧主義の人は「石橋をたたいて渡る」
〇上手に力を抜く人は「見切り発車する」
完璧主義の人は、事を始めるにあたり、準備を万端にしてから、収集できる情報は全て収集してから動こうとします。リスクや失敗に敏感だからです。
完璧主義の人は、準備段階ですでに疲弊し、「その次の行動を起こせない」という笑い話のような話もあります。
動きが早いこの時代、状況は刻々と変わっていきます。準備を万端に整えて動くよりも見切り発車して、実際にその状況を経験し、トライアンドエラーを繰り返しながら、軌道修正を行う方が目的とする地点に早く到達できる可能性が高いのです。
孫子の言葉に「巧遅は拙速に如かず(こうちはせっそくにしかず)」という言葉があります。
ぐずぐずしているより、上手でなくとも、迅速に物事を進めるべきだという意味です。
どんなに完璧に準備をしても未来は誰にもわかりませんからね。
いかがでしたでしょうか?
上手に力を抜いて仕事をするというのは「いい加減に仕事をする」ということとは違います。
なんでもかんでも100%の力を出してフルスピードで走っていると疲れてしまいます。
「力を抜けるときは抜く」この考えを持っているほうが余裕がありいい仕事ができるのではないでしょうか?
参考図書 「2割に集中して結果を出す習慣術」古川武士氏著
ディスカヴァー・トゥエンティワン刊