第三者委員会とは

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第三者委員会とは?設置するメリットとその方法・費用について解説

近年、企業や団体の不祥事が後を絶ちません。記憶に新しいところでは、兵庫県知事のパワハラ疑惑や、フジテレビにおける中居氏に関する問題など、様々な組織でハラスメントや不適切な行為が明るみに出ており、その都度、真相究明や再発防止のために「第三者委員会」の設置が検討・実施され、社会的な注目を集めています。

しかし、「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどのようなものなのか?」「設置するメリットは何なのか?」「誰が設置するのか?」「費用は幾らくらいなのか?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、現在、注目度が高まっている第三者委員会について調べてみました。

定義から、設置するメリット、具体的な設置方法、そして混同されやすい内部調査委員会との違いまで、解説していきます。

第三者委員会とは?

第三者委員会とは、企業や団体内で不正や不祥事が発覚した場合に、その原因や責任の所在を客観的かつ中立的な立場から調査するために設置される特別な委員会です。「委員会」と聞くと公的な雰囲気もありますが、そうではありません。委員会を構成する委員は、当該企業や団体と利害関係のない弁護士、公認会計士、大学教授などの専門家で構成されます。

第三者委員会の主な役割は以下の通りです。

  • 事実関係の徹底的な調査: 関係者へのヒアリング、証拠資料の収集・分析などを通じて、不祥事の全容を解明。
  • 原因の究明: 単に事実を明らかにするだけでなく、不祥事が発生した根本的な原因や背景にある組織的な問題点を特定。
  • 責任の所在の明確化: 関係者の責任範囲を特定し、適切な処分を検討するための判断材料を提供。
  • 再発防止策の提言: 今後同様の不祥事が起こらないように、具体的な対策を提案。
  • 調査報告書の作成と公表: 調査結果、原因、責任、再発防止策などをまとめた報告書を作成し、社会に公表することで透明性を確保。

第三者委員会は、企業や団体の自主的な取り組みとして設置される場合と、監督官庁や株主からの要請を受けて設置される場合があります。いずれの場合も、その独立性と専門性が、公正な調査と信頼性の高い報告書作成のために不可欠となります。

第三者委員会を設置するメリット

では、次に第三者委員会を設置するメリットについてみていきましょう。

企業や団体が第三者委員会を設置することには、多くのメリットがあります。主なメリットを以下に挙げます。

  • 客観性と中立性の確保: 自社内の人間による調査では、どうしても主観が入ったり、組織の論理が優先されたりする可能性があります。第三者委員会は、外部の専門家で構成されるため、客観的かつ中立的な視点から徹底的な調査を行うことができます。これにより、利害関係者の信頼を得やすくなります。
  • 問題の本質的な解明: 内部の人間では気づきにくい、組織文化や構造的な問題点を外部の専門家が指摘することで、不祥事の根本的な原因を究明することができます。
  • 再発防止策の実効性向上: 外部の専門的な知見に基づいた再発防止策は、より具体的で実効性の高いものとなることが期待できます。
  • 対外的な信頼回復: 不祥事の発生は、企業の信用を大きく損なう可能性があります。第三者委員会を設置し、その調査結果を公表することで、社会や投資家、顧客からの信頼回復につながります。透明性の高い対応を示すことは、責任ある企業姿勢を示すことになります。
  • 責任の明確化と適切な処分: 客観的な調査に基づき責任の所在が明確になることで、適切な処分を行いやすくなります。これにより、組織内の規律維持や再発防止につながります。
  • 従業員の意識改革: 第三者委員会による徹底的な調査は、従業員にとって不正行為に対する警鐘となり、倫理観の向上やコンプライアンス意識の強化につながる可能性があります。
  • 法的リスクの軽減: 公正な調査と適切な対応は、訴訟リスクや規制当局からの処分リスクを軽減する効果も期待できます。

このように、第三者委員会の設置は、短期的なコストはかかるものの、長期的な視点で見ると、企業や団体の持続的な成長と信頼確保に不可欠な投資と言えるかもしれません。

第三者委員会の設置方法

第三者委員会を実際に設置する際には、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。一般的な設置の流れは以下の通りです。

  1. 設置の決定: 不祥事の内容や社会的な影響などを考慮し、経営層や理事会などが第三者委員会の設置を決定します。前述しましたが、監督官庁や株主からの要請を受けて設置する場合もあります。
  2. 委員の選定: 独立性、専門性、中立性の高い委員を選定します。通常は、弁護士、公認会計士、大学教授などの専門家が選ばれます。委員の人数は事案の複雑さによって異なりますが、複数名で構成されることが一般的です。
  3. 委員長・事務局の設置: 委員の中から委員長を選任し、調査を円滑に進めるための事務局を設置します。事務局は、資料の収集、関係者との連絡調整、報告書の作成補助などを担当します。
  4. 調査範囲・期間・権限の明確化: 委員会が調査する範囲、調査期間、委員会に与えられる権限(関係者へのヒアリング、資料提出の要求など)を明確に定めます。
  5. 調査の実施: 委員会の決定に基づき、事実関係の調査、原因の究明、責任の所在の特定などを行います。関係者へのヒアリングは、複数回にわたって行われることもあります。
  6. 報告書の作成: 調査結果、原因、責任、再発防止策などを詳細にまとめた報告書を作成します。報告書は、客観的な証拠に基づいて記述される必要があります。
  7. 報告書の公表: 作成された報告書は、記者会見やウェブサイトを通じて社会に公表されます。透明性の確保が重要です。
  8. 再発防止策の実施とフォローアップ: 報告書で提言された再発防止策を実行に移し、その効果を定期的に検証・改善していくことが重要です。

第三者委員会の設置と運営には、専門的な知識と経験が求められます。そのため、弁護士事務所やコンサルティング会社などの外部専門家のサポートを得ながら進めることが一般的です。

内部調査委員会との違いは

不祥事が発生した際の調査体制として、「内部調査委員会」も存在します。第三者委員会と内部調査委員会は、どちらも不祥事の原因究明や再発防止を目的とする点では共通していますが、その性質には大きな違いがあります。

下記にその違いを表にして示します。

項目 第三者委員会 内部調査委員会
構成メンバー 外部の弁護士、公認会計士、大学教授など 社内の従業員(法務部、監査部など)
独立性・中立性 極めて高い 社内の影響を受けやすい
専門性 各分野の専門家による高い専門性が期待できる 社内メンバーの知識や経験に依存する
調査の徹底度 広範囲にわたり、徹底的な調査が期待できる 範囲が限定的になる場合がある
対外的な信頼性 非常に高い 第三者委員会に比べて低い
設置の目的 客観的な事実解明、対外的な信頼回復 事実の把握 内部的な原因究明、迅速な対応
費用 一般的に高額になる 第三者委員会に比べて比較的安価

内部調査委員会は、迅速かつ比較的低コストで調査を開始できるというメリットがありますが、構成メンバーが社内の人間であるため、調査の独立性や客観性、徹底性に限界がある場合があります。特に、経営層や組織的な不正が疑われる場合には、内部調査だけでは十分な真相究明が難しいことがあります。

一方、第三者委員会は、外部の専門家によって構成されるため、客観的で中立的な調査が期待でき、社会的な信頼性も高くなります。ただし、設置には時間と費用がかかるというデメリットがあります。

企業や団体は、不祥事の性質や社会的な影響などを考慮し、どちらの調査体制が適切かを判断する必要があります。重大な不正や不祥事の場合、社会的な信頼回復のためには、第三者委員会の設置がより有効な選択肢となります。

第三者委員会設置に関する費用は?

では最後に、多くの方が気になっていると思われる、第三者委員会の設置に関する費用は、委員への報酬と調査費用からなります。また、第三者委員会の設置にかかる費用は、不祥事の規模、複雑さ、調査範囲、委員の構成、調査期間などによって大きく変動するため、一概に「〇〇円」と示すことは非常に困難です。数百万〜数億円に及ぶケースもあります。

第三者委員会の主な費用構成要素

委員への報酬

第三者委員は、通常、弁護士、公認会計士、大学教授などの専門家で構成されます。これらの専門家への報酬は、時間単位(タイムチャージ)で計算されることが一般的です。委員の人数や専門性、経験によって単価は大きく異なります。著名な専門家や経験豊富な委員が多く含まれるほど、報酬総額は高くなります。委員会の開催回数や調査期間が長引くほど、報酬総額も増加します。

調査費用

資料収集・分析費用: 不祥事に関連する証拠資料の収集、整理、分析にかかる費用です。従業員へのヒアリング記録作成費用、文書の電子データ化費用などが含まれます。

外部専門家への依頼費用: 必要に応じて、フォレンジック調査(電子データの解析)、鑑定、その他の専門的な調査を外部機関に依頼する費用が発生する場合があります。

事務局運営費用: 委員会の事務作業をサポートする事務局の人件費、会議室のレンタル費用、通信費、交通費などがかかります。

報告書作成費用: 調査結果をまとめた報告書作成にかかる費用です。委員や事務局の人件費、印刷費などが含まれます。

以上、第三者委員会の概念、設置するメリットとその方法・費用についてご説明しました。

第三者委員会を設置するスピードが速いほどその企業の誠意は世間に伝わりやすくなります。「うちは関係ないから」と思うのではなく、地震対策と同じで、常日頃からの準備がいざというときに役に立ちます。この機会に第三者委員会の設置に関する社内マニュアルを準備してみてはいかがでしょうか?

本日もお読みいただきありがとうございました。

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