オウンドメディアは終わりを告げるのか?

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AIのブラウジング機能によりオウンドメディアは終わりを告げるのか?

最近、あなたはGoogleなどの検索エンジンを使いますか?

私は、特定のお店や商品を探すときは検索エンジンを使いますが、なにかを調べるときは検索エンジンをほとんど使わなくなりました。

このことは3月21日に公開した記事「情報収集がとても簡単になるPerplexityとは?」にも書きました。

AIがブラウジング機能(ユーザーの代わりに情報収集・要約・比較を行う機能)を搭載したことにより、調べたいことをAIが検索し、それをまとめて表示してくれるため、FACTチェック以外では検索エンジンがほとんど必要なくなったわけです。

おそらく、私と同じような人は増えているでしょうし、AIのブラウジング機能がもっと普及すれば5年後くらいには検索エンジンを使う人はほとんどいなくなってしまうかもしれません。

検索エンジンを使う人が少なくなってくると、既存のビジネスには様々な影響が出てくることが考えられます。

例えば次のようなものがパッと頭に浮かんできます。

1.Web広告代理店の売り上げ減少
広告出稿者が減ることで広告代理店の手数料も減ってしまいます。

2.アフィリエイト事業者やアフィリエイターの売り上げ減少
ユーザーが「●● 比較」や「●● レビュー」などのキーワードで検索しなくなり、AIに「おすすめを教えて」と聞くようになる。結果として、アフィリエイト収益依存型メディアが打撃を受ける可能性が大きいでしょう。

3.アクセス解析・行動データの取得が困難に
AIが代理でウェブページを閲覧するため、Google Analytics等で取得されるユーザーデータの一部が欠落する可能性があります。これにより、CVR最適化やABテストの精度が低下する懸念があります。

4.オウンドメディアへの流入数の減少
AIがユーザーの質問に対して要約された情報を提示するため、ユーザーは元のオウンドメディアにアクセスする必要が減る可能性があります。

特に「4.オウンドメディアへの流入数の減少」はPR会社やPR担当者にとっては頭の痛い問題となってくるのは目に見えています。

「インターネット」「AI」の進化のスピードは目を見張るものがあります。「まぁ、そのうち対応しよう」と考えているうちにあっという間に世界は変わってしまうため、至急対応する必要があります。

オウンドメディアはどのような対策を取るべきか?

では、具体的にどのような対応策が考えられるのかまとめてみました。

1.独自性・専門性の高い情報を発信

AIが「信頼できる情報源」として引用・参照するようなコンテンツを増やします。具体的には次のようなものが考えられます。

●業界特化の記事(ニッチ領域や自社でしか得られない知見を公開)
例えば、税理士法人や会計ソフトのオウンドメディアの記事では、一般的な「節税メリット」ではなく、「年商3億円以下の製造業に特化した節税事例」のようにします。

●一次情報の発信(社内データ・アンケート調査・インタビュー)
一次情報のコンテンツはAIには生成できないので有効です。例えば「当社の顧客100人に聞いた●●の導入効果」のようなものです。

実名・実体験を伴うコンテンツ
例:「●●(実名)の導入失敗事例とそこからの改善策」などは、AIにも信頼されやすいです。

専門家監修・著者名の明記
E-E-A-Tの強化(Experience / Expertise / Authoritativeness / Trust)を行います。

E – Experience(経験): コンテンツ作成者が、そのトピックに関する実体験に基づいた知識や経験を持っているか。
E – Expertise(専門性): コンテンツ作成者が、そのトピックに関する専門的な知識やスキルを持っているか。
A – Authoritativeness(権威性): ウェブサイトやコンテンツ作成者が、そのトピックにおいて信頼できる情報源として認識されているか。
T – Trustworthiness(信頼性): ウェブサイトやコンテンツ、そしてその作成者が信頼できる情報を提供しているか。

この「E-E-A-T」は本当に重要ですので記憶に留めておいてください。

2.構造化されたデータ(スキーママークアップ等)の活用

この部分は少し専門的な記述もあります。Webサイトの構築に関わったことがない人には難しい表記もありますがご容赦ください。

構造化を行うことにより、AIや検索エンジンに認識されやすくなります(引用されやすい形になります)

具体的には次のようなものが考えられます。

FAQ構造化データの導入
よくある質問・回答を schema.org/FAQPage 形式でマークアップ
これにより、AIやGoogleがFAQの回答を拾いやすくなります。

HowToの構造化データ
検索結果での視認性が向上することで、Google検索結果でステップバイステップの手順が表示されるようになります。こういったコンテンツはAIが好むものとなります。

Article・Author・Organizationマークアップの適用
誰が書いたか、どんな企業かをAIに理解させやすくする。

Table・List・定義形式での出力
AIが要約・抽出しやすい構造を意識(「メリット5選」や「比較表」など)

3.AIが答えられない体験・感情・ストーリーを提供

AIでは生成困難な、人間的で感情に訴える価値を提供するコンテンツを用意します。

具体的には次のようなものが考えられます。

ユーザーの失敗談・心情の記録
実際の失敗談やその時の心情のコンテンツを生成することに関してAIはまだまだ苦手です。リアル感のあるコンテンツを用意します。

ストーリー性のあるコンテンツ
成功までの道のり・挫折・気づきなどを物語風に。前述と同じようにAIはここが弱点です。

写真・動画・音声など、リアルな記録を活用
これに関してもAIは生成できません。このようなコンテンツは説得力が増します。

体験レビューの「生の声」
特にBtoCでは、顧客の声は大きな力を持ちます。AIは「生のリアル感」のあるコンテンツは生成できません。

4.AI検索からの導線最適化(ソース表示→クリック誘導)

AIが表示する情報カードや出典リンクから訪問者を誘導します。

具体的には次のようなものが考えられます。

冒頭に結論を記載する(AIに引用されやすい)
例:「●●には、〇〇という3つの明確なメリットがあります」

タイトル・見出しに明確な答えを含める
例:「SEOの効果とは?3つの観点から具体解説」

OGP・メタディスクリプションの最適化
AIが引用する箇所に表示されることもある(=第一印象になる)

記事に「続きを読む」欲を起こす工夫
例:AIでは要約しか見られないが、「詳細は記事でしかわからない」構成にする(体験談・詳細事例など)

いかがでしたか?

前述したとおり、AIのウェブブラウジング機能はインターネット上にある多くのビジネスモデルを変化させる大きな可能性を持っています。

今まで企業はユーザーの目に触れさせるための様々な施策、例えばSEOや広告に力を注いできました。しかし、今後、SEOや広告から顧客を集めるのはかなり難しくなります。これからはAIに取り上げられることを意識したコンテンツ戦略(AEOといいます)を急がなくてはいけません。

このことは、SEOで後れをとっていた企業にとってはある意味チャンスと捉えることができるでしょう。まさしく「ピンチはチャンス」です。

AEOはまだまだ手探りの段階です。Plan Do Seeのサイクルを他社より速く回した企業がインターネット上では生き残り、業界で今後の主導権を握ります。

さっそく今日からAEOの研究に取り組んでみませんか?

本日は以上となります。

お読みいただいてありがとうございました。

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