心理テクニック

仕事術

仕事に使える心理テクニック10選をご紹介【前編】

私の知人に「絶賛婚活中」の男性がいます。

仮に、Aさんと呼ぶことにします。

最近、Aさんとサシで呑む機会があったので、そのとき「Aさん、どう婚活は?うまくいってる?」って聞いてみました。

Aさんは次のように話してくれました。

「『婚活サイト』や『婚活アプリ』に登録して、何人もの女性と会ってみたがなかなかうまくいかなくてさぁ。『婚活カウンセラー』に高いお金を払っていろいろアドバイスを受けたけど、それもだめで。2回目は会ってくれないんだよ。で、どうしようか悩んでいるとき、『女性心理』について書いた本を読んだんだ。で、そこに書いてあったことを実践したらなんだか急に上手くいくようになってね。それ以降、仕事のときも人の心理ってものを意識するようにしたら、なんかうまくまわるようになったよ」

で、続けて次のようにも言いました。

「あのさ、仕事のときに使える心理テクニックってものもたくさんあるんだ、これを知っているといろいろと便利だぞ!」

「なるほど」と思いました。

仕事は必ず人と交わる必要があります。自分一人だけで完結することはありえませんよね。また、「人は感情の生き物」です。なので、常に相手の感情というか心理を考えた言動を取ることが仕事をスムーズに運ぶひとつのコツかもしれません。

で、そこで仕事に使えるビジネス心理というものを調べてみました。すると結構あるもんですね。そこで、今回と次回の2回に分けて、個人的に仕事に使えると思える心理テクニックを10個ご紹介しますので、ご興味があればぜひお読みください。

では、始めていきますね。

ザイオンス効果

これは、別名「単純接触効果」とも呼ばれています。これは、相手に何度も繰り返し接触することによって、だんだん好感度や評価などが高まっていくという効果です。

最初は特に興味も関心もなかったけど、何度も目にしたり、接する機会があるとその対象物に対して良い印象を持つようになります。

この効果をおおいに活かせる仕事は「営業」ではないでしょうか?

営業というものは、初回から契約が取れたり、うまくいくということはほとんどありません。何回も何回も見込み客と会っているうちに、その営業マンに対して好意を持つようになることで契約が締結できる可能性が高くなります。

私も若い時営業をしていたのですが、その時先輩に言われたのが「特に用事がなくてもお客様の会社にはよく顔を出すように」と言われました。これもザイオンス効果を狙ったものですね。最初は少額の契約しかできなかったりしますが、頻繁に顔を出して接触頻度を高めれば、お客様が抱く印象・安心感・親近感も高くなり、高額の契約締結に繋がる可能性も高くなります。

フットインザドアテクニック

フットインザドアテクニックとは、心理学における「一貫性の法則」を利用した説得術・交渉術の一つです。

「一貫性の法則」とは、自分の発言、行動、態度などを一貫したものにしたいという心理のことです。

説得や交渉の場で、いきなり本題に入るのではなく、まずは、簡単な要請から始めて、Yesを引き出し、徐々に要請のレベルを上げていくことで、大きなYesを得られる確率が高くなります。

フットインザドアテクニックの名称の由来は、英語の「put foot in the door」「ドアに足をかけたらこちらのもの」という意味から来ています。

この記事を書いていると、その昔、羽毛布団の飛び込み営業をしている人と、居酒屋の席で隣になり、話したことを思い出しました。

その時、彼は「自分は羽毛布団の飛び込み営業の世界ではトップセールス」なのだと自慢をしていました。

それに対して私は、「どうすれば羽毛布団がそんなに売れるんですか?」と聞いてみました。すると彼は次のように答えました。

「羽毛布団をいきなり売るのではなく、まずは羽毛の枕を買ってもらうんですよ」と。

その時に、羽毛の良さをお客さんに理解してもらい、羽毛枕の契約を終えた後、羽毛布団のセールスをすると、高い確率で羽毛布団が売れたそうです。これは、購入者側に羽毛の良さを理解し、そして購入したという一貫性の法則を維持したいという気持ちが無意識にあるからなのではないでしょうか?

ハロー効果

ハロー効果とは、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のことです。ハロー効果には、ポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果があります。

例えば、AさんとBさんという二人の男性がいるとします。Aさんは東京大学を卒業。Bさんは私立大学を卒業という学歴のとき、「Aさんの方が仕事ができそう」という心象を抱いてしまいがちになります。

多くの人が、「学歴の高さと仕事ができるできないは必ずしも比例しない」ということを頭ではわかっていますが、無意識下では、 「Aさんの方が仕事ができるんだろうな」という思いを持っていたりします。

見た目や着ている洋服の第一印象で、その人の評価が決まってしまう現象もハロー効果です。スーツをピシッと着こなしていて、清潔感のある髪、そしてよく磨かれた靴を履いていると「この人は仕事ができるんだろうな」と勝手に思ってしまいますよね。

広告やマーケティングの領域では、このポジティブハロー効果そしてネガティブハロー効果が特に重要視されます。

好感度の高いタレントやスポーツ選手などをCMや広告に使うことによってその商品自体も良いものという心象を与えます。逆にタレントやスポーツ選手が不祥事を起こすと、多くの場合ではCMや広告から降板ということになります。

ホット・リーディング

ホット・リーディングとは、事前に相手の情報を集めておき、その相手と会話を進めることで、相手からの信頼を得るテクニックです。

例えば、事前に調べた相手の好きな食べ物・スポーツ、趣味、家族構成などの情報から相手の好む話題を話すことで、相手からの信頼や好感を得ることができます。

相手の情報を調べる方法は、相手と自分の共通の知人などを介す方法や、その人がSNSをやっていればその投稿を読み込んでおく方法があります。最近ではSNSをやってる人も増えたので相手の情報を調べることが、昔よりは簡単になっています。

以前、ホット・リーディングを活用した、ある自動車メーカーの凄腕営業マンの話を本で読んだ記憶があります。

その人は、自分から車を買ってくれた人に紹介を依頼するそうです。そこで紹介を得ることができたら、紹介者に紹介してくれた人のことを詳細にヒアリングするのだそうです。そしてその人がプロ野球の巨人軍のファンということがわかれば巨人戦のチケットを入手しておき、営業で会った時にそのチケットをプレゼントするのだそうです。当然、その試合の日程と紹介された人のスケジュールが100%合うわけではありません。

なので、そのチケットは無駄になる可能性があります。しかし、それは全然構わないのだそうです。巨人戦のチケットをプレゼントしたという行為が、その後の関係構築に非常に重要だということでした。

実は私もホットリーディングをされた経験があります。私はFacebookをやっているのですが、ある人とビジネスの関係で会ったとき、その人が私のFacebook投稿をかなり過去の分まで読み込んでいて、私の好きな食べ物や、実家に帰ってうどんツアーを行っていたことを話され一気にその場が盛り上がりました。

ホットリーディングをするときの注意点は「私はあなたのことを入念に調べました」ということをあからさまに出さないよう、さりげなく出すということに注意すべきでしょう。

入念に詳細に調べられたということが相手に伝わると、相手はあなたに対して警戒心を持ちます。また。気持ち悪いという感情も湧いてくるでしょう。

ネームコーリング

ネームコーリングとは、会話の途中に相手の名前を入れて話すことです。人は自分の名前を読んでくれる人に好意を感じるのです。また、自分の名前には敏感です。人がたくさんいてガヤガヤとしたパーティ会場で、目の前の人と話し込んでいても、どこかで自分の名前が話されていると気が付きますよね。脳は自分の名前に敏感に反応します。仕事のときも意識して相手の名前を呼ぶようにしましょう。

例えば、商談の席では「御社」とか「会社名」で会話を進めていくことが多いのではないでしょうか?

「御社ではこれに関してどのようなお考えをお持ちでしょうか?」
「この業務をアネティさんにお願いすることは可能ですか?」

このような感じです。

しかし、「山田さん、御社ではこれに関してどのようなお考えをお持ちでしょうか?」

このように言った方が相手の気持ちに届きます。

また、挨拶のときも同じです。

「おはようございます」よりも「山田さん、おはようございます」です。

「手伝っていただいたので仕事が早く終わりました。ありがとうございました」よりも「山田さんが手伝ってくれたので仕事が早く終わりました。ありがとうございました」の方が断然感謝の気持が伝わりますね。

いかがでしょうか?

ご紹介したものは今から実践できるものばかりですので、使えそうなものがあれば是非、試してみてくださいね。

再来週の記事では、残りの5つをご紹介します。ありがとうございました。

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