プライベートでもビジネスでも相手から「Yes」を引き出したい時って多々あるんじゃないかと思います。そして、その「Yes」を引き出すテクニックを知っていればとっても便利だと思いませんか?
人にものを頼むとき、自分の頭の中にある言葉を「ただ思いついたまま喋るだけ」よりも、「Yes(以降『承諾』と記載)」を導きやすいテクニックを知ったうえで話す方が承諾を得られる確率は当然高くなりますね。
それでも断られたのであれば、まぁ、諦めもつきます。そこで本日の記事では、心理学のテクニックのうち、相手から承諾を得られる確率が高いテクニックを4つご紹介します。
ここでご紹介する手法はビジネスの世界、特に販売業の分野では日常的に使われていて効果のあるものばかりです。例えば、広報PRやマーケティングの企画を社内で通したいとき、上司やそのまた上の役員に説明する際にも、この方法が応用できるかもしれません。
では、さっそくご紹介しましょう!
1.段階的要請法
このテクニックは、小さな要求から始めて、次第に大きな要求へと段階的に進めることで、相手の協力を得やすくするものです。
まず最初に、相手が簡単に受け入れることができる小さな要求をします。この要求は、相手にとって負担が少なく、断る理由があまりないようなものです。
最初の要求を受け入れてもらった後、次に少し大きな要求をします。このプロセスを繰り返して、段階的に要求の大きさを増していきます。
具体例
例えば、付き合いたいと考えている異性に「映画の無料チケットをもらったから、今度の週末、一緒に観に行かない?」と尋ねます。相手がこれに応じたら、次に「その後、近くのレストランで食事もどう?」と尋ねます。
このように、最初の小さな要求が受け入れられることで、相手は次の要求に対しても心理的に抵抗が少なくなります。
効果の理由
一貫性の原理が働くから
人は一貫した行動をとりたいという心理的な傾向があります。最初の要求を受け入れた後、次の要求を受け入れることで、一貫した行動をとることができると感じます。
自己認識理論
最初の小さな要求を受け入れることで、相手は自分を「このような要求に応じる人」と認識し、その自己イメージを維持しようとするため、次の要求も受け入れやすくなります。
利用するときの注意点
段階的に進めること
最初の要求が小さすぎると効果が薄れ、大きすぎると拒否される可能性があります。段階的に進めることがポイントです。
2.譲歩的要請法
譲歩的要請法は、「1.段階的要請法」とは逆のアプローチを用いるテクニックになります。初めに、相手が断る可能性が高い大きな要求をします。この要求は意図的に高く設定されており、相手が「無理だ」と思うような内容です。相手が大きな要求を断った後に、譲歩する形で、実際に承諾してもらいたい小さな要求を出します。この小さな要求は、相手にとって「それならできるかも」と思わせる程度のものです。
具体例
最初に、友人に「今度の週末に引越しを一日中手伝ってくれない?」と尋ねます。
友人がこれを断ったら、「じゃあ、せめて午後の2時間だけでも手伝ってくれない?」と尋ねます。
このように、最初の大きな要求を断ったことで、相手は心理的に譲歩を受け入れる姿勢になりやすくなります。
効果の理由
相互譲歩の原理
社会心理学における相互譲歩の原理に基づき、人は他人から譲歩を受けたときに、自分も譲歩しなければならないと感じる傾向があります。大きな要求を断った後に小さな要求を出すことで、その譲歩に応じることでバランスを取ろうとします。
罪悪感の軽減
大きな要求を断った罪悪感を軽減するために、相手は次の小さな要求を受け入れることがあります。自分が断ったことに対する罪悪感から逃れるために、より受け入れやすい要求を承諾します。
利用するときの注意点
誠実さを保つ
要求が不合理であったり、相手に不利益を与えるものであった場合、信頼関係が損なわれる可能性があります。要求は誠実かつ合理的な範囲内で行うことが重要です。
相手の立場を考慮する
相手が本当に負担に感じる要求を繰り返すと、逆効果になることがあります。相手の状況や気持ちを尊重し、適切な範囲で使用することが必要です。
3.承諾先取り法
承諾先取り法とは、まず相手に好条件を提示し、承諾を得た後に、悪い条件を追加したり、好条件を取り除いたりする手法です。
具体例
飲食店のアルバイトのシフト調整で、店長がアルバイトに出勤を依頼する場面です。
店長
「中村君、今度の土曜日、シフト入ってないけど、人が足りなくてさ、悪いんだけど、午後、3時間だけシフト入ってくれないかな?入ってくれたら、その時間は通常よりも時給100円高くするからさ」
中村君
「あ~、そうっすね~。。はぃ、いいですよ。入ります」
店長
「実はさぁ、ちょっと言いにくいんだけど、3時間ではなく6時間必要なんだよね、ごめん。大丈夫?で、4時間目以降は通常の時給になるんだけど」と変更を伝えます。
アルバイトは一度承諾しているため、条件が悪化しても6時間のシフトを引き受ける可能性が高くなります。
効果の理由
返報性の原理
人は、誰かから何かをしてもらったら、自分も相手にしてあげたいと思う心理が働きます。これは返報性の原理と呼ばれます。
コミットメントと一貫性の原理
人は、一度、言ったり行ったりしたことに対して、整合性を保とうとする心理が働きます。これはコミットメントと一貫性の原理と呼ばれ、好条件に承諾することで、相手はその条件にコミットし、その後提示される条件が少々悪くても、ある程度は応じるようになります。
利用するときの注意点
・最初に提示する好条件は、相手にとって魅力的で、断りにくいものでなければなりません。
・その後、追加する悪い条件や取り除く好条件は、相手にとって許容範囲内のものでなければなりません。
・相手が承諾してくれるかどうかは、相手の性格や状況によっても左右されますので、相手の反応をよく観察しながら進めることが重要です。
4.利益付加法
最後にご紹介するのは、商品を販売するときにお客様から「買う」という承諾を引き出す方法です。
利益付加法は、販売やマーケティングにおいて、商品やサービスに特典やおまけをつけることで、顧客の購買意欲を高める心理テクニックです。別名で「特典商法」「おまけ商法」とも呼ばれます。
具体例
「この羽毛布団を本日購入いただいたお客様には特別に羽毛枕もお付けします」
「本日ご契約のお客様には、通常、年間3000円頂いているアフターサービスを無料でお付けします」
効果の理由
この方法は、心理学における損失回避の原理に基づいています。人は、利益を得ることよりも、損失を避けることを重視する傾向があります。利益付加法では、まず商品やサービスの基本的な価値を提示し、その後、特典やおまけをつけることで、顧客が「基本的な価値に加えて、追加の利益を得られる」と感じさせることで、購買意欲を高めます。この手法はテレビショッピングを観ていると必ずと言っていいほど利用されていますね。
利用するときの注意点
特典やおまけは、次の条件を満たしている方が効果的です。
・顧客にとって魅力的で価値のあるもの
・販売しようとしている商品やサービスと関連性のあるもの
・おまけやサービスは数量限定や期間限定にすることで、希少性を高めることが必要です。
いかがでしたでしょうか?
人に何か依頼して「Yes」が欲しい時、本日ご紹介したテクニックを是非使ってみてください。きっと成功率が上がると思いますよ。
ただ、ご紹介したテクニックを使うときは、そこに「誠実性」が感じられないといけません。そうでないと「嫌な奴」となります。
お読みいただきありがとうございました。