現在毎日のように、Facebook・Twitter・LINE・InstagramなどのSNS上で企業のPRを目にするようになりました。
これらSNS上でPRしているのは大手企業に限られている印象を受けます。
多くの企業の担当者は、SNSを使ったPRで成果を上げるには多額の予算と人手が必要なのではないかと考えがちですが、そうではないんです。
そこで本日は、無名の企業でもSNSで成功できた事例をご紹介します。
京都のお茶屋さんである「京都・宇治 伊藤久右衛門(いとうきゅうえもん)」の例です。
2年前のデータになりますが、企業が持つFacebookページ別のエンゲージメント率のベスト5を見ると次のようになっています。
エンゲージメント率とは、SNSにおいて、企業アカウントの投稿に対してユーザーがどれくらい反応したか(例えばFacebookならいいね!がどれほどされたか)を表す値のことです。
(※Facebookの場合、アクション[いいね!・コメント・シェア・クリック]を行った人数÷投稿がリーチした数で計算します。)
1位Amino-Valueアミノバリュー(大塚製薬)ENG=13.8%
ファン数12872
2位JaguarJapan(ジャガー・ランドローバー・ジャパン)ENG=10.2%
ファン数43888
3位京都・宇治 伊藤久右衛門ENG=9% ファン数38430
4位シングルモルトウィスキー白州(サントリホールディングス)
ENG=8.9% ファン数11272
5位シングルモルトウィスキー山崎(サントリホールディングス)
ENG=8.9% ファン数30890
※参照元 https://www.advertimes.com/20150129/article181013/
有名企業が並ぶ中。3位に京都・宇治 伊藤久右衛門がランクインしています。
伊藤久右衛門のフォローワー数は、次のとおり。
Facebook 約11万5000人
Twitter 約2万5400人
Instagram 約7700人
Line 3万9000人(友達の数)
また、それぞれのSNSでの投稿に対するエンゲージメント率は次のようになっています。
Facebook 5~12%
Twitter 5~15%
Instagram 10~20%
上の伊藤久右衛門の場合、一回の投稿で100万PV(500万円相当の広告代に匹敵するのだそう)の反応を得ることもあるそうです。
伊藤久右衛門の担当者によると、多くのフォロワー、高いエンゲージメント率を獲得できたことに二つの要因があるそうです。
目的の進捗を計る指標であるKPIをちゃんと設定したということと、SNSの特性に合わせた人員の配置を行ったということ。
まずKPI設定について。
同社では、「伊藤久右衛門の名をひとりでも多くの人に知ってもらう」ことを目的として、Facebookにおける1年目の目標を「ページへのいいね!数10,000」「エンゲージメント率10%以上」としたそうです。
「いいね!」の数だけではなく「エンゲージメント率」も同時に設定したのは、「読まれない=反応のない投稿は意味がない」と考えたため。
KPI設定がないまま事を起こすのは、航海図を持たずに海に出るようなものです。
成果を残すにはKPI設定は必須です。
そして次に各SNSの担当者を決める際に、SNSの特性に合わせた人材を配置したということ。
FacebookとInstagramは画像重視、Twitterはテキスト重視、LINE@はSNSではなくメールマガジンの代替、と位置づけるべきだとのこと。
確かに頷けます。
伊藤久右衛門の担当者によれば、各SNS別に向いているタイプを次のように分析しています。
FacebookとInstagram: 画像選びのセンスや切り取りが上手い人
Twitter: 人とは異なる視点を持ち、文章での発言に敷居のない人
LINE@: 営業担当者
そして共通するのは根気強い人であること。
SNSは、継続することでその効果が出てきますので、成果をすぐに求めたり、挫折する人は向いていませんね。
またSNS(特にTwitter)は外部とのやりとりが多く発生し、拡散性も高いですので、しっかりとした倫理観をもち合わせた人が担当するということも大事なポイントの一つです。
KPIの設定は基本ですが、このSNSの特性に合わせた担当者の人選というのは多くの企業では盲点だったのではないでしょうか?
このように、SNSで成果を上げるためのコツを押さえさえすれば、大手企業でなくてもSNSでのPRは十分に可能なことがわかります。
来年度のSNS戦略を練り直す際の参考になれば幸いです。